バレエトレーナーが考える良いバレエ教室選びのポイント

こんにちは、新宿、横浜で活動しているバレエトレーニングディレクターの猪野です。

今回の話題は私の立場で口を出すと、すごく敵をいっぱい作りそうな事柄ですが、真剣にバレエをやりたい人たちにとってはすごく重要な事なので書くことにしました。

ただし、今回の内容はトレーナーの立場からみた「この教室はちゃんとしてるな」という印象をまとめたものになりますので、教室の選び方がさっぱりわからない方がとりあえず参考にする、程度にお考えください。

加えて、前提条件としてプロを視野にも入れるくらいバレエが上手くなりたくて教室を選ぶ場合の見方になります。

趣味でやる程度なら近場で楽しければ良いと思うので、上手くなりたい方は参考にしてください。

1、早すぎる年齢でポアントを履かせない

 プロを目指すからといって早くポアントを履けばいいというものではありません。骨の固まっていない小学生に履かせて踊らせても、骨をゆがめるリスクを上げるだけです。小6か中学生くらいを目途に生徒の足の健康を考えられる教室は良いと思います。

2、特にスカラシップも出ないようなコンクールに若い年齢でやたらと出したりしない

小学低学年のコンクールくらい年齢が若い時の方が賞が取りやすいそうです。へぇー、って感じですが、そんな賞にプロを目指すうえで大した意味はないので 出なくて良いと思います。それよりも、ヴァリエーションを踊らされることによる身体のアンバランスな使い方を身に着けてしまう方がデメリットとして大きすぎます。子供にはそんなことさせずに基礎をきちんと教えてくれる教室が良いと思います。

3、その教室の生徒さん達が自分がなりたいと思う身体つきをしている

 つい、先生がどんな人かは気になりますが、見学に一度行ったくらいでは中々見分けるのは難しいかと思います。そんな時は生徒さんの身体を見てみましょう。そこの生徒さんの身体が素敵だと思えるならその教室はアリではないでしょうか。逆に脚が妙に太かったり、なんだか綺麗じゃないなと思ったら他を探しても良いかもしれません。

4、先生が教授法を学んでいる、もしくは常に勉強している

 先生のプロフィールなんかで教授法などを修了、みたいことが載っていたらそこの先生はバレエの教え方を学んだであろう人なので信頼度は上がると思います。踊りしかしていないまま教室を開き教えている先生は、自分が教えられた通りの教え方を基本的にしますので運が悪いと相当に古いバレエを教えられてしまったり、プロの世界では通用しないことを学んでしまうので、少なくとも常に情報を取り入れたり勉強を続けている先生を選びましょう。

5、その教室からプロが輩出されている

 プロを目指すならプロの作り方を知っている先生が良いですよね。わかりやすいのはその教室からプロが出ているかどうかも一つのチェックポイントです。留学だとちょっと弱いです。最近はお金を出せば留学できてしまうので、最悪上手じゃなくても海外には行けてしまいます。もちろん、新しい教室はそういうのは無かったりしますよね、そういう時は他の項目を参考にしてください。逆に長くやっているのにプロが出ていないならそこは止めておきましょう。

6、コールドバレエをしっかりやらせている

 プロになって初めての仕事は大抵はコールドバレエです。これをきちんと発表会なりでやっている教室は良いと思います。これが出来ないと仮に準団員やらアプレンティスになっても上に行けません。これがヴァリエーションばかりをやらせがちなってしまうコンクール出場ばかりの教室を私が嫌う理由の一つです。プロになってからやることを練習させないのではプロを育成とは言えないですよね?

7、生徒に「なんでできないの!?」と言わない

 何かできないことがあったときに、生徒に責任を転嫁しない先生が私は良い先生だと思います。なぜ出来ないのかは教え方が悪いからです。つまり教師の責任であって生徒ではありません。もちろん、教師の思惑通りに全てが上手くいくわけではありませんが、少なくとも、なぜ出来ないのか、を生徒と一緒に考えていける先生に教わって欲しいな思うばかりです。

8、先生が教室に感情を持ち込まない

 バレエの世界ではあるあるです。自分の機嫌でクラスの内容や注意の種類が変わる先生がいます。こんな先生だと生徒も大変です。クラスの内容は生徒がプロになるために計画される生徒の年齢に伴ったタイムスケジュールで決まったり、変わるのであって教師の機嫌ではありません。ウォームアップの前に先生の機嫌の確認なんてしたくないですよね。教師もお金をもらう以上はプロフェッショナルなわけですから、せめてそういうことは隠してくださいよ、ということは言わざるを得ません。

9、もし留学したい国がはっきりしていたらそこのメソッドをやっている

 バレエにはいろいろメソッドと言われる教授法がありますが、国によって変わることが多いです。もちろん、目指すゴールは一緒なのですがポジションの作り方から微妙に違うので、もし行きたい国がはっきりしていたら、その国でのメソッドと同じ教室を選んでおくと、特にスクールに留学するような場合には混乱が少なくて済みます。
 加えて、メソッドが同じということは教師が変わっても注意が同じになりやすいということです。例えば、同じ教室で、ある先生には重心を前にと言われたのに、次の先生には重心を後ろに、みたいなことを言われたら何を信じていいか分かりません。教室で教えていることを統一する意味でもメソッドは大事だったりします。

10、なんだかんだでバレエを生徒達が楽しそうに踊っている

プロを目指すなら楽しいだけでは無理です。クラスも厳しいものになるでしょう。それでも、踊りの楽しさというか、そこの生徒たちが踊りが好きで頑張っているのだなぁ、なんてことがもし見える様なら、それは教室選びでとても大切な要素になると思います。

 

 

今回はいろいろ書きましたが、これが全てではありません。仮に完璧な教室があったとしても200キロくらい離れていたら毎日通うのは困難なわけですから、自分の状況にあった教室探しの参考になれば幸いです。

 

 

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    猪野 恵司 -Keiji Ino-

    バレエトレーニングディレクター
    プロフィール詳細

    カリフォルニア州立大学ロングビーチ校で機能解剖学を学ぶ。
    大学卒業と同時にサクラメントバレエ団でプロダンサーとして活躍。退団後はバレエ専門のパーソナルトレーナーとして活動している。