こんにちは、新宿、横浜で活動しているバレエトレーニングディレクターの猪野です。
スケート場に練習に行くといつも何人かの選手と思われる子たちが練習しているのですが、常々思っていたのが「腕の使い方が苦手な子が多いのかなー?」ということです。
バレエの場合にもこの悩みは結構ありまして、肘が落ちるとか上半身が使えないとか、そういう所はやはり共通するものがありそうです。
でも、よくよく考えてみると腕の使い方が苦手になりやすいのはレッスンを見ていればある意味当然とも思えます。
スケートの場合、バッジテストがありますがその内容は滑り方のテストです。インエッジやアウトエッジにきちんと乗って、時に自在に入れ替えたりするようなテストになりますから、普段の練習メニューに腕はあまり入ってきません。
今回、私も大会に出るためにプログラムを作って練習しましたが、そのプログラムの練習で初めて先生から腕を振付として注意されたりしました。まず滑れることが前提なので優先順位として腕や上半身は後回しにされるのは当たり前と言えば、その通りです。
バレエの場合もプリエから始まりグランバットマンに至るまで脚の練習はとても多いのに、それに伴う腕の練習はついでになってしまうこともしばしばです。腕をしっかりと使う練習は割と上級者向けになるのですが、その前段階でやる練習をあまり見たことがありません。
ポールドブラだけやる練習はありますが、それをどう繋げるかは生徒のセンスに任されすぎな印象です。そのままだと当然腕が使えないと悩むことになってしまう子も多いでしょう。
さてスケートの場合、上半身の表現力の為になのかバレエを習うことも多いようです。ただ、こんなことを言うとちょっと敵が増えそうですが(笑)、スケートの上半身の為にやるクラシックバレエはあまり向いていないように思います。
バレエの場合、腕の通り道は厳密に決まっていてそのポジションから外れないように練習していきます。使う曲も基本はクラシックです。それに対してスケートは腕における制限などはなく、滑る曲のジャンルも様々です。にもかかわらず、しっかりとポジションを通ることを求められるバレエの腕の使い方を学んでもどこまでスケートに活きてくるのか疑問に思うのです。
さらに、上記のようにバレエだけをやっている子でも腕が使えない子もいるわけなので効率としてはあまり良くないような気がしてなりません。
なので、スケートに活かす為の踊りであるならば、コンテンポラリーバレエやモダンなどのもう少し自由度の高い踊りのほうが効果が高くなるように思います。実際テレビでトップ選手の滑りを見ていても腕の使い方はクラシックという感じもしないですし。
これらの踊りは練習においてもクラシックよりも腕の使い方を振付などで意識しやすいのでスケートには合うように思います。
コンテンポラリーなどやってみた上で、もっと踊りを学ぶためにクラシックはアリかと思いますが、バレエの根幹にあるターンアウトにしてもスケートではイーグルやイナバウワーくらいにしか使わないようにも思えますし。(他にあります?)
スケートにせよ、バレエにせよ腕を使いたいならば腕を使う練習をしないといけないので、その手段として何が一番効率的かを考える必要がありますね。