こんにちは、新宿、横浜で活動しているバレエトレーニングディレクターの猪野です。
色々な方とバレエのお話をしていると、みなさんそれぞれに考えを持たれています。こちらのトレーニングに来てくれる方も自分がどうすれば上手くなって正しく踊れるのか、そういうことを知りたくて来てくれるわけです。
しかし、正しさというものは一体どこにあるのか、ということは私が最近強く思うことです。
正確に言えば、正しさというものはメソッドによっても違うわけですし、振付での正しさは振付家が全てなわけなので、時として正しさというのは簡単に変わってしまうということです。
解剖学や運動学でも、以前のブログで書いたように新しい発見や研究でトレーニング法などが真逆になることもありますし、でもそれによって間違いと言われた古いトレーニング法が10年後に実はちゃんと効果があると再認識されたりすることもあります。
バレエというよりも芸術において、あまりに正しさみたいなものを追ってしまうと私はドツボにはまるのではないかと考えています。特に答えが一つしかない学校教育を受けてきている私たちは、自分が思っている正解以外での解答をみると、それは間違いだと言いたくなる傾向があります。でも、それって芸術においての宗教戦争みたいなもので、決着なんてつきません。1日に祈る回数が2回であるべきか3回であるべきかでケンカをするようなものなので、答えは出ないでしょう。
昔のバレエは、チュチュの高さ以上には基本的に脚を上げないという踊りだったという話があります。その理由は下品だからだそうです。でも、今は普通に高く上げますよね。どちらが正しいかといえば本質的には脚を上げない方でしょう、それも状況によりけりです。
では、自分は何を信じればいいかと言えば、それは自分が納得してその物事に取り組んでいるか、ということではないでしょうか?トレーニング法や教授法にしても万人に当てはまる指示ややり方は存在しません。必ず一定の割合で、上手くいかない事例が存在します。でも、他の人は上手くいかない練習でも自分に効果があるものならば、それはやってよいものである可能性が高いでしょう。なので、他人がやっていることを安易に間違いだと指摘することの危険性も考えなくてはいけません。もし、その練習で上達をいつまでも感じることがなく痛みや違和感ばかりが出てくるのであれば、そこで間違いではないかという疑いは持つべきかと思います。
以前にある方からオーロラ姫の振付のお話をしていた時、第三幕のバリエーションでパドゥシュバルをしながら手をしたから回していく振りがありますがあれは幼い自分が年を重ねてここまで大きくなりましたということを表現しています、という話を聞いた時すごく納得した記憶があります。それはオーロラ姫を踊るための正しい知識かもしれませんが、そんなことよりもそのお話を知ることで確かに踊りの表現が良くなるであろうことを納得出来ることが大事なように思います。
なんだか難しい話になってきましたが、大事なことは自分の頭を使って取り組んでいる物事を納得出来るようにやっているか、ということだと思います。その上でそれが間違いだったと後で考え直すことがあったとしても、反省はあっても後悔はないと思います。納得してやっていたわけですから。
数学のような明確な答えが出ない世界です。自分の頭を使って納得出来ているのかを考えてみてはいかがでしょうか。
今年最後のワークショップは引き上げ(強い上半身)です。やはりトレーニングをしていて思うのは強い上半身がないと、ターンアウトをはじめとするバレエテクニックが鍛えようにも上手くいかないということです。今年最後に上半身で悩まない強さを手に入れませんか?
今回は12月30日(土)です。場所は新宿スタジオです。
今回は最後ということで10時スタートと12時スタートの2コマをご用意しております。
トレーナーがいるバレエスタジオを作ってみませんか?
東京近郊のバレエスタジオを経営されている方で、
トレーナーと協力して生徒のレベルを上げていきたいと考えていられる方は
いらっしゃいませんか?
生徒のレベルを上げるにはやはり教師とトレーナーの繋がりが
教育方針に矛盾がでないためにも不可欠だと最近特に感じています。
そこでバレエの為のトレーニングに興味があり、
当方と組んでもいいかなと思われている方がおられましたら、
ぜひご連絡ください。
今回は実験的な試みなので、料金などはかなり低めにしようと思っております。
まずは試しにどんなものかを知りたいような方も是非ご連絡ください