こんにちは、新宿、横浜で活動しているバレエトレーニングディレクターの猪野です。
ダンサーとしてプロになりたいという場合、具体的にどの国に行きたいとか、どのカンパニーに入りたいとか考えてみるのはとても大事なことです。モチベーションの維持にもなりますし、具体的な夢であるほうが目指しやすいでしょう。
ただ、プロダンサーという職業で考えた場合、自分が夢に見ているカンパニーだけに固執するのは自分の可能性を狭めることでもあります。その時考えなくてはならないのが、例えばパリオペラ座のダンサーになれないと自分の夢が意味のないものなのか、それともプロダンサーとしてどこかのカンパニーに入れれば自分は頑張っていけるのか、ということなどです。
私個人のお話をしますね。私がバレエを志したのはとても遅かったです。19歳になりかけの18歳でした。本来なら遅いというレベルではなく、才能のある子などはプロとして活動し始める年齢です。
最初はただガムシャラに練習していましたが、バレエの世界を勉強するにつれて自分がプロになるためにはどうすればいいかという戦略を立てました。それが、コールドバレエとしてどこかのカンパニーに潜りこむ、というものでした(笑)
ソリストとか、プリンシパルとかそういうものにはなれないな、と考えていた私はいかにコールドバレエとして潜り込むための練習を意識するようになりました。人に合わせることが出来るとか、コールドバレエの求められるものはいろいろありますが、私が最も大事にしたのは右も左も両方できること、でした。
クラスを見ていると右が得意とか左が得意とか、そういうダンサーがいっぱいいるわけですがシンメトリーで表現する場面も多いバレエでは両方できた方が、例えば、左ができるダンサーが怪我をした時に他に左のダンサーがいない場合、両方できる自分に白羽の矢が立つはずだという、コールドバレエを目指しながらさらにアンダースタディを狙うという姑息極まりない作戦で練習していたのです。
なので、自主的にバリエーションなどの練習は大してやらず、もちろんクラスでやれば頑張りますがクラスが終わった後に振りを真逆にしてバランスをとるようなことをしていました。片方だけやって反対が出来なくなることがとても嫌だったからです。
それからカンパニーのオーディションを受けだした頃、私がアメリカで習っていた先生の元にサクラメントバレエ団という所から男性ダンサーの欠員が出たので誰かいないか?という問い合わせがありました。そこで私の先生が「ケイジ行ってみるか?」と言われ、私は「喜んで」と答えました。これが私がプロカンパニーに入った経緯です。
運だけじゃねぇか!と思われると思います。敢えて言わせて頂くと、はい、その通りです。でもコールドバレエのアンダースタディなんかを虎視眈々と狙っていた私にとっては格好良く正規の道筋でプロになれる必要なんてないわけで、なれればなんでも良かったのです。
どんな経緯であれカンパニーで踊りだすと、それが小さい所だろうが大きい所だろうが踊る喜びは変わりません。人間関係を含めれば夢に見ていたカンパニーよりも田舎の小さいカンパニーの方が楽しいこともあるかもしれません。
でも、その違いを知るためにはどんな手段でもプロになってみないとわからない訳です。
私の周りにはもっとうまい人がいっぱいいました。でも、その人達を真似てバリエーションとか右のピルエットだけをずーっと練習したりとかしていたら、きっとプロにはなれなっただろうなと思います。
才能が劣る、時間もない、というのが私に配られたカードでした。でも無いものねだりをしている暇はありませんでした。出来ることは、自分にあるもので自分にできる最高を探るしかないことだと思ったからです。
傍から見ればパッとしないダンサー人生ではあったかもしれませんが、悔いはありませんでした。ほぼ作戦通りいきましたからね。運だけで(笑)
みなさんも自分にあるもの、出来ることをきちんと見てみると、自分にとっての現実的なダンサー像というものが見えてくるかもしれませんよ。
それはそうと1月もワークショップを行います。1月28日(日)14時から90分です。場所は新宿スタジオで行います。
テーマはやっぱり体幹です。最近こればっかりですが、これが出来ないとターンアウトも何もないなというのが私の考えでして。4名限定ですので興味がある方はお問い合わせか直接ご連絡ください。
大人の為のバレエを応援するため、トレーナー、整体師、教師が手を組んで解決するサロンを作りました。無料でも参加出来ますので興味がある方はぜひ覗いてみてください。