ピルエットの分析ーバイオメカニクス セミナーレポート

こんにちは、新宿、横浜で活動しているバレエトレーニングディレクターの猪野です。

 

先日、ダンス医科学研究会に参加してきました。今回も非常に興味深く学ぶ事が多くありました。

中でも非常に興味深かったものを紹介します。

 

ピルエットの分析でわかること

バレエの世界にいると自分がイメージしたり指導されたりする踊りの感覚というものがあるわけですが、改めて研究などで分析すると意外と思った通りになっていない事が結構あります。

 

今回の発表されたEdith Cowan UniversityのHopper博士のピルエットについての研究がダンサーがやるべきとされるピルエットと実際のピルエットに差があるという事を示していました。

 

本来、非常に単純な人間の動きをモノとして捉えてしまうと、ダブルピルエット以上の回転では軸から身体が1度以上ズレてしまうと回れないはず、という結論になってしまうそうです。1度ですよ、めちゃくちゃ狭いです。

 

ところが、そんな体感覚の持ち主がそんなにいっぱいいるわけもなく、実際はそれ以上ズレることもあるわけですが、崩れたバランスを持ち直しながら回り続けるのです。

 

レッスンの世界ではピルエットのパッセの脚をとにかく速く持ち上げるように指導される方も多いと思いますが、映像を分析してみると、実はそうはなってないことがわかります。

 

おそらく、みんな動画で見たりして薄々気づいているかとは思うのですが、さすが研究者というところで、はっきりと言ってくれていました。

 

ピルエットの最初の4分の1は片足ですらなく、実はまだ両足で立っています。そこからだんだんとパッセになってきて1回転が終わる頃にパッセ(ルティレ)の形が完成されるのです。

この事実は事実としてあるだけ

もちろんこれは脚を速く上げてパッセにするべきという指導を否定するものではありません。

速く上げるという意識でもってその程度にしかならない可能性もあるからです。

 

 

あくまでこれは、映像を分析すると一回転が終わる頃にパッセになる、という事実があるだけです。

 

でもよくよく考えてみると、高回転が出来る人間のパッセはそんなに速くない気がしますし、あまりに急に身体をまとめて回ろうとすると、回転が速くなりすぎてバランスを立て直す暇もなく崩れてしまいます。

 

さらに懇親会で聞くことが出来た博士のお話だと、プレパレーションから回っていく際に前に突っ込み過ぎて、それを戻そうとするあまり、後ろに倒れて回れないというエラーが1番多く観測されたというお話を聞けました。

 

当然ながら身体がきちんとした形になっていないと回るよりも崩れてしまうでしょう。

 

ではどう練習すればいいのか?

そこで議論の的になるのが、形を先に練習するべきか、それともとにかく回ってみるべきか、ということになります。これは実際の研究会の中でも話し合われました。

博士の考えでは、まずは回る練習をするべき、でした。

私の考えも同じで、回りたいならとにかく回れと考えています。

 

ピルエットが得意な人でも100%の確率で同じように毎回回れるわけではありません。必ず僅かなズレが発生します。

 

形だけにこだわって回る練習をしすぎると、バランスが崩れた時にそれを取り戻す能力が育たないと思っています。

 

上記のように、本来は1度ズレるとダブルにすらならないはずなわけで、そんな厳しいゴールを設定するより、ある程度軸が崩れても回れる能力を育てた方が本番にも強くなるはずです。

 

まず回る練習のメリットは回転に慣れることが出来るということです。普段の生活でおよそやらない回転という動作にとにかく慣れる必要があるのです。もしもっと回りたいのであれば。

 

そして、回ることに慣れてしまえば回転中のバレエの形も気にする余裕が出てくると考えています。

 

これが現状の私の考えです。博士にしてもまだ研究において、どのようにすれば完璧なピルエットとなるかという答えには至っていないそうです。

バレエ教師の格言に「回れてるやつに余計なこと言うな」とあるようにピルエットは非常に複雑です。

もし回転が不得意で、とにかく回ってみるという方法を試していないのであれば、是非やってみてはいかがでしょうか?

あ、博士からコアラを頂きました。

 

 

3月21日(水)のオンラインミーティングもNHKスペシャルにも出演されていた大前隊長が参加されます!!

 

次回有料会員の募集から会員費の値上げをすることになりました。ただし!早期お申込み頂けると据え置きでご利用いただけます!

 

大人の為のバレエを応援するため、トレーナー、整体師、教師が手を組んで解決するサロンを作りました。無料でも参加出来ますので興味がある方はぜひ覗いてみてください。

 

 

2月21日(水)に無料のオンラインミーティングがありました。今回はパラリンピックで踊りを披露してくれた大前隊長をゲストにお迎えしました。大盛況で終了しました。彼もまた身体にハンディを背負ったダンサーです。彼から学べることは大人バレリーナにも通じるはずです。またこのような機会を作りたいと思いますのでぜひ一度チェックしてみてください。

興味がある方はこちら

来月は別日でリリースのワークショップも開催します。4月15日の14時から新宿スタジオで行います。

 

来月も引き上げのワークショップを行います。4月22日14時から新宿スタジオです。

 

ご希望の方は、お問い合わせやメールでお申込みください。

 

3月25日に引き上げのワークショップを行います。14時より90分の予定です。

限定4名で料金は5000円です。現在キャンセル待ちになっております。

お問い合わせ、などから直接お申込みください。

  • PICKUP!
    動画講座を開講しました!

    大人のバレリーナの悩みを解決する動画講座が始まりました。
    是非ご覧ください。

  • 無料動画を配信中

    先日開催された「解剖学を生かす極意と鍛錬」の動画が配信されています。
    なんと無料!! 是非どうぞ 。

  • ABOUT

    猪野 恵司 -Keiji Ino-

    バレエトレーニングディレクター
    プロフィール詳細

    カリフォルニア州立大学ロングビーチ校で機能解剖学を学ぶ。
    大学卒業と同時にサクラメントバレエ団でプロダンサーとして活躍。退団後はバレエ専門のパーソナルトレーナーとして活動している。