骨盤を立てるというのは何なのか?

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こんにちは、新宿、横浜で活動しているバレエトレーニングディレクターの猪野です。

 

今回のブログは解剖学にエクササイズにと色々書いた結果、少し長くなりました。

最初に解剖学、最後にエクササイズを紹介しています。

知りたい所だけでも読んでもらえれば幸いです。

 

 

皆さんはもっと「骨盤を立てて」とかレッスンで注意されたことはありませんか?

もしくは「タックインしないで」とか「反り腰にならないで」とか言葉は変わってくるかもしれません。

 

まず初めに、なぜ骨盤を立てるのかというと、それは形で美を表現するバレエという踊りが骨盤を立てる事を求めてくるからです。ダンサーとしては当たり前ですよね。

 

言い換えれば「骨盤を立てた方が踊りやすいよね」ということではなく「バレエを踊るならば骨盤は立ってなければいけない」という事をなのです。

 

 

その前提の上で解剖学的に見れば骨盤を立てる事でメリットはもちろんあります。

 

今回は解剖学的に見た骨盤を立てるメリットと、骨盤を立てる為の方法をお伝えしていきます。

 

骨盤を立てるメリット

解剖学的に見た骨盤が立つことで得られるメリット

ターンアウトがしやすくなる

引き上げがやりやすくなる

上半身も下半身も安定しやすい

脚の一部分だけが張りにくくなる

膝も伸ばしやすい

ルルベも安定しやすい

 

パッと挙げるとこのようになるのですが、なぜこんなメリットが出てくるかと言えば、骨盤に付いている筋肉が上記のメリット全てをやってくれるように繋がっているからです。

 

解剖学的にみた、なぜ骨盤を立てないといけないか?というと前回のブログの中で「筋肉は適切な長さになると1番強い力を出せると書いていたのを覚えていらっしゃるでしょうか?

 

 

骨盤が立つと踊りに必要な筋肉が適切な長さになるからなんです。

骨盤に付いてる筋肉はいっぱい!

下の写真ではそれぞれ骨盤に付いている主要な筋肉の場所を四角く囲って表しています。

腹筋、背筋、ターンアウト筋、ももうら、もも前、内転筋、お尻の筋肉も全部、半分は骨盤に付きます。

 

つまり骨盤が立たない状態は上記の筋肉の全ての機能が筋肉そのものの長さが不適切になることで狂わせてしまうのです。

骨盤が立たないと上記のメリットが全て消えて他にも問題はたくさん起きます。腰痛とかもその一つです。

 

つまり。骨盤を立てるという事が出来ないと毎日のレッスンの質が著しく落ちる事になるのです。何より美しくないわけです。それはバレエが求めるところではありません。

 

骨盤の構造を知っても真っすぐはわかりにくい!

 

さて、それで骨盤を立てるって言われてみても難しいですよね?真っ直ぐの状態がどこなのかが、さっぱりわからないかも知れません。

 

 

骨盤は右寛骨、仙骨、左寛骨の3つの骨が組み合わされて出来ています。今回はややこしいことは考えずに骨盤全体に注目します。骨盤を立てるのにわざわざ骨盤の一部分を立てようとかする必要はありません。

私もダンサー時代に本などで研究しました。人によっては仙骨を立てるとも表現されます。

 

しかし、あんなカーブした骨をどうしたら立てた事になるのか、さっぱり分かりませんでした。

 

しかもそのカーブの具合が人によって変わるのですから、わかりにくい事この上ないです。

 

骨盤と背中の解剖学

仮に骨盤を立てたとしても、このまま踊りに入ると大抵は元の癖に引っ張られて骨盤はズレてきます。

 

そうならないために背中の筋肉が必要です。

 

背骨の筋肉というと脊柱起立筋が有名ですが、この筋肉は骨盤を真っすぐにするという点では強すぎます。

 

真っすぐを通り越して、反るという形を作ってしまうのです。

上体反らしがすごく得意でも、それは背中が後ろに反りやすいから出来るのであって背中が強いかどうかとは別問題です。(強い場合もあります)

 

骨盤を立てるとは背骨がきちんと良い位置に並んでくれるということです。

背骨を反るのではなく真っすぐを維持したいのです。

骨盤を立てるインナーマッスル

骨盤を立てて、背骨の真っすぐを維持してくれる筋肉が背骨に直接付いている多裂筋という、知る人ぞ知る小さい筋肉です。

 

多裂筋の画像が見つからず描こうとしてみましたが、絵心がないのでこれが限界でした。

脊柱起立筋の奥にわしゃわしゃとこんなイメージで付いています。

この多裂筋は背骨に直接付いていて、さらにすごく大きい筋肉ではないので反るということまでしません。

 

骨盤と背骨を立たせるだけです。

 

 

後は背骨が捻じれて回転を生み出す時などに支える役割などを担っています。

 

つまりは骨盤を含めた背骨の安定をやってくれます。

 

この多裂筋を使って背骨を真っすぐにしたいのです。そうすると踊りのバランスがすごく安定します。

 

次からようやく実際に骨盤を立たせるエクササイズを紹介します。

骨盤立たせるエクササイズ

骨盤を真っ直ぐにするというやり方は骨盤の前側を使えば難しいものではありません。分かりやすいのはピラティスなんかでも使われるやり方です。

 

 

手首を腰骨(上前腸骨棘)に当てて指先を恥骨に当てて三角形を作ります。この時の三角形が床と垂直にある事が骨盤が立てているという事です。これをキープするだけです。

実際にやってみるとこんな感じです。

タックしたり、反り腰になったりしないように気を付けてください。

これで真っ直ぐにはなります。他の捉え方としては鼠径部(脚の付け根)がくの字になったりせずに真っすぐをキープするという考えでも大丈夫です。

 

多裂筋のエクササイズ

次に骨盤を立てて維持するためのエクササイズです。

まずは座骨を椅子に垂直にするように座ります。先ほどの三角形を使ってもいいです。

そこから背骨を真っすぐにしたままお辞儀します。

そこから手を遠くに伸ばして30秒から1分キープします。

この時に絶対に反らないように注意してください。

 

骨盤を立てる為には、背骨を反るではなく真っすぐにする筋肉が必要です。

反る練習だけでなく背骨を安定させることを忘れないでください。

 

内緒でもう一つお話すると、これでアラベスクが上げやすくなったりするのですよ。背骨が安定するので、そんなことが起きたりします。

 

 

いかがでしたか?背中の筋肉は腹筋と比べて数も多く複雑です。

 

でもやりたいことは真っすぐにしたいということだけです。

 

骨盤を立てる事、それを維持する事、今回紹介したエクササイズで是非試してみてくださいね。

まとめ

骨盤が立たないと踊りに必要な筋肉の大半が狂ってしまう。

 

骨盤に三角形を作って真っすぐな位置をまず知っておく

 

反る筋肉ではなく真っすぐにする筋肉を鍛えよう

 

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  • ABOUT

    猪野 恵司 -Keiji Ino-

    バレエトレーニングディレクター
    プロフィール詳細

    カリフォルニア州立大学ロングビーチ校で機能解剖学を学ぶ。
    大学卒業と同時にサクラメントバレエ団でプロダンサーとして活躍。退団後はバレエ専門のパーソナルトレーナーとして活動している。