こんにちは、新宿、横浜で活動しているバレエトレーニングディレクターの猪野です。
ちょっと面白い記事を見つけまして、
北海道でバレエダンサーのトレーナーをされている森脇さんの記事で
マリンスキーバレエの石井久美子さんが
「世界レベルで脚を上げたければオーバーストレッチが必ず必要になる」
というツイートに対し、個人的にその考えを書かれているのものです。
大まかな考え方としては、私も森脇さんに近い考え持っていると思います。
定義の違うオーバーストレッチという言葉が誤解を生んで
危険を伴う可能性が容易に想像出来ること。
ダンサーにとっては自分の今の限界をオーバー（越えて）して更なる柔軟性を獲得するストレッチと思われるが
トレーナーやセラピストが使うオーバーストレッチという言葉は、伸ばしすぎてケガに繋がるストレッチを考えやすい
というような違いがありそこを誤解したダンサーが
トラブルに見舞われる可能性を
私も否定出来ません。
とはいえ、誰しも安全に出来るストレッチで
世界のトップと張り合うのは無理であろうという事も分かります。
そこで私が森脇さんの記事と石井久美子さんのツイートみて思うのが
正直な所、彼女のツイートで言っていることが全部間違っているとは思わないですが
問題は圧倒的に言葉が足りていないことだと思います。
森脇さんは
「忘れてはいけないのが彼女の記事はほぼ全て「世界を目指すダンサー」という条件がついてきます。」
とブログで書いてあり、その通りだと思うのですが
彼女のツイートは正しく「私のオーバーストレッチ」を行って筋力も付ければ
「あなたも世界を目指せる」ようにも読めてしまうのです。
バレエのレッスンというのはダンサーを作り上げる為の訓練ですが
同時に選別でもあると私は考えています。
ワガノワバレエ学校では彼女の「オーバーストレッチ」を
受け入れられる人間が入学を許可されるはずです。
その倍率は年によっても違うでしょうが50倍以上。
でも進級試験によって振るいにかけられて
60人の選ばれた生徒の中から少しずつ落第していき
3000人に1人くらいの確率で世界に通用する柔軟性と筋力をもった
世界的スターバレリーナが誕生します。
まず、そういう前提条件を一切提示せずに
「オーバーストレッチ」が必要です。
とツイートしている彼女に私は少し怖さを覚えます。
もしかしたら、
「前提条件とか昔にちゃんと書いてました！」
という方もいらっしゃるかもしれません。
それがあったとしても私は確かに読んでいません。
だから問題なんです。
逆にそんな記事を読まないまま
分かった気にさせるからツイッターは怖い誤解を生むのです。
彼女がワガノワバレエ学校のように
受ける生徒をしっかりと倍率50倍くらいで選別した上で
その「オーバーストレッチ」をやらせるのであれば
危険は少ないかもしれません。
そういう世界を目指すのに必要な話というのは
何かを学ぶという意識が薄く、民度が低いと言われるツイッターで
世界的に知名度のあるダンサーがあまり安易に書くべきではないと
個人的には考えています。
さらに140文字という制限があるツイッターで
書ききれない続きをコメントに書かれているので
さらに読みにくいです。
ツイッターには確かに
「例えば正しいやり方でやらなければ股関節周りにアプローチをかけたいのに、膝を無理に捻って痛めてしまったりします。」
とは書いてあるのですが、それがコメント欄にあることと
開脚している写真の片足を椅子に乗せて
こうする！って書いてあるのです。
とりあえず真似するに決まってるじゃないですか。
有名なバレリーナがそんな写真載せていたら。
石井久美子さんは正しいバレエの知識を広めたいそうです。
私もその考えには大いに賛同しております。
怪我無く多くの人が自分の夢を目指して行ける世界は素敵だと思います。
しかしその伝え方があまり正しいとは思えないです。
どうあれ、多くの人に考えて欲しいのは
他人に提示された正しい知識やトレーニングが
自分にとって本当に必要なものかであるということです。
正しいトレーニングの情報を
自分が正しく受け取っていないかもしれません。
有名人が発信していることと
自分にとって有益であるかは
別物かもしれないという疑いは
持っておくことが大事だと私は思います。
