こんにちは。大人バレエアカデミーの猪野恵司です。
今日のテーマはずばり、「ピルエットができるようになりたいなら、まず“回る”ことに慣れましょう」というお話です。
◆ ピルエットがうまくできない理由は?
バレエには、ピルエットやシェネ、ピケターンなど、さまざまな「回転」の動きがありますよね。
中でも、バレエを始めたばかりの方にとって「回転」は特に難しく感じるものではないでしょうか?
先生に「とりあえず回ってみて」と言われても、なかなかうまくはいかない。
それは決して運動神経が悪いとか、センスがないということではありません。
一番大きな理由は、**“回転に慣れていない”**からです。
◆ 普段の生活に「回転」はない
日常生活で、ぐるぐる自分の身体を回すなんてこと、滅多にありませんよね。
にもかかわらず、バレエでは「片足で立って回る」「連続で移動しながら回る」など、精度の高い回転が求められます。
つまり、一番難しいことを、いきなりやろうとしているんです。
回転は、重心のコントロール、遠心力への対応、バランス感覚、視覚や三半規管への刺激など、普段使わない感覚が総動員される動きです。
だからこそ、まずはその感覚に慣れることが大事なのです。
◆ まずは「ぐるぐる回って」みる!
やり方は何でも構いません。
その場で足踏みしながら回るでも、軸足を決めて回るでも、自分のやりやすい方法で「ぐるぐる回る練習」をしてみてください。
最初は目が回って気持ち悪くなると思います。
でも、10回が平気になれば、次は11回、12回……と回復力はどんどんついてきます。
重要なのは、「回転そのものに身体を慣らすこと」。
バレエの回転技術を練習する前に、まずはこの段階を踏んでください。
◆ 回転がうまくなるとどうなるか?
最初のうちは、回った後にフラフラしたり、軸が崩れても気づけなかったりするかもしれません。
でも、回転に慣れてくると、「今、傾いたな」「今の姿勢まずかったな」と、自分で気づける感覚が身についてきます。
これは非常に大切なステップです。
回転に慣れた身体は、目が回ったとしてもすぐに回復できるようになります。
実際、バレエやフィギュアスケートの選手は、回転中も目は回っています。
ただし、「回転後の回復」が圧倒的に速いのです。だから平気そうに見えるだけ。
スポット(首の使い方)も重要ですが、それ以前に「回転の経験値」が圧倒的に足りていないと、どんなに首を使っても目は回ります。
◆ 回転の練習は“回ってから”
ピルエットなどの技術練習は、回転に慣れてからでも十分間に合います。
まずはぐるぐる回って、身体の感覚を育てましょう。
その上で、ポジションを整える・プレパレーションをしっかり行う・軸を保つといった技術を加えていってください。
◆ 最後に:一緒に楽しくバレエを続けましょう!
ということで、今回は「回れるようになるにはまず“回る”ことから」というテーマでお話ししました。
苦手意識を持たず、まずは「遊び感覚」でぐるぐる回ってみてください。
回ることに身体が慣れてくると、ピルエットもどんどん安定してきますよ。