日本のバレエはなぜ「レベルが低い」と言われるのか?

こんにちは、東京、横浜、大阪梅田で運営する大人バレエアカデミー

バレエトレーニングディレクターの猪野です。

今日のテーマは「どうして日本のバレエはレベルが低いと言われるのか?」という話です。

ここでいう「日本のバレエのレベルが低い」というのは、日本のバレエ団全体のレベルについての話です。

海外のバレエ団を好む人たちの中には、「日本のバレエはあまり観る気にならない」と感じる人もいます。

バレエ関係者なら、一度はそういう意見を耳にしたことがあるかもしれません。

ただし、「日本人がバレエに向いていない」という話ではありません。

なぜなら、日本人ダンサーでも海外で活躍している人はたくさんいます。

つまり、日本のバレエのレベルが低いのは、

日本人の体格や資質の問題ではなく、日本のバレエ団自体の環境に問題があるということです。

日本のバレエ団の課題:ビジネスモデルの不在

では、なぜ日本のバレエ団のレベルが低くなってしまうのか?

結論から言うと、「ビジネスモデルがしっかりしていないから」です。

バレエ団を運営するための資金が不足し、結果的にダンサーの待遇が悪くなり、

優秀なダンサーが日本を離れてしまうのです。

日本のバレエ団にお金がない理由

バレエダンサーになるためには、多大な時間とお金を投資して技術を磨かなければなりません。

しかし、バレエダンサーの寿命は短く、65歳まで踊れる人はほとんどいません。

そのため、多くのダンサーはできるだけ待遇の良いバレエ団に所属しようとします。

 

すると、海外のレベルの高いバレエ団には、自然と実力のあるダンサーが集まります。

そして、日本のバレエ団に戻ってきたダンサーは、お金をもらって踊るどころか、

自らお金を支払わないと公演に出られないという状況に陥るのです。

 

このように、日本のバレエ団ではダンサーに給料を支払うのではなく、

「公演に出る権利」を得るためにダンサーがお金を払うという逆転現象が起きています。

その結果、日本のバレエ団は「お金を払ってでも踊りたい」というアマチュア精神の人たちに支えられ、プロとしてのプライドを持ちにくい環境になってしまうのです。

プロ意識の欠如が生む低レベルな環境

例えば、海外のプロバレエ団では、遅刻や練習態度が悪ければ契約を切られることも珍しくありません。しかし、日本のバレエ団では「お客さん」のような立場のダンサーが多いため、遅刻してもさほど厳しく咎められません。

また、海外のバレエ団では、ダンサーは自分のスキルを維持しなければ契約更新されません。怪我をして契約が切られると、外国人ダンサーならビザの問題で帰国せざるを得ないこともあります。

こうした緊張感の中で努力する環境と、日本のバレエ団のように「お金を払って公演に出る」環境では、ダンサーの意識やレベルに大きな差が生まれるのは当然です。

日本のバレエ団に必要な改革:ビジネスモデルの構築

バレエ業界が発展するためには、しっかりとしたビジネスモデルを構築し、お金を回す仕組みを作る必要があります。

「バレエはファンが少ないから無理」という意見もよく目にします。しかし、例えばかつての横浜DeNAベイスターズは、観客がほとんど入らない不人気球団でした。しかし、DeNAが球団を買収し、優秀な経営者のもとで改革を進めた結果、今では大人気球団に生まれ変わりました。

バレエ団も同じです。経営やマーケティングの専門家を取り入れて、興行としての価値を高めることができれば、十分に成り立つはずです。

しかし、日本のバレエ業界では「昔踊りが上手かった人」が経営まで担ってしまい、結果としてうまくいかないケースが多いのです。

これからバレエダンサーを目指す人へ

もしあなたがプロのバレエダンサーを目指すのであれば、まず「海外で踊れるだけの能力があるか?」を自問してください。

海外、特にヨーロッパでは、バレエダンサーに対する価値が高く、国が支援していることも多いので、成功の確率が高くなります。

しかし、何らかの理由で日本に戻らなければならなくなった場合、日本で踊るための選択肢を考えておく必要があります。

そして、日本でバレエダンサーとして生きていくのは海外よりもはるかに厳しいことを理解し、何歳までにどうするかというデッドラインを決めることをおすすめします。

また、バレエ以外のスキルも身につけておくことが重要です。バレエしかできない人が、バレエで食えなくなったときの惨めさは計り知れません。

将来に備えて、他の分野の知識やスキルを学ぶことも強くおすすめします。

まとめ

日本のバレエのレベルが低いと言われる原因は、ダンサーの質ではなく、バレエ団のビジネスモデルが未成熟であることにあります。

これを改善するためには、経営のプロを取り入れ、バレエ団の運営を見直す必要があります。

 

私も大人バレエアカデミーを通して、多くの人がバレエをきちんと楽しめるように頑張ります

 

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