こんにちは。
大人バレエアカデミーの猪野です。
私はトレーナーとしての側面も持つ人間なのですが
今日は、私が日々のトレーニングの中で感じていることを、少し深掘りしてお話したいと思います。
賢い人は“基礎の重要性”を知っている
クライアントさんが私のバレエトレーニングに申し込んでくださる時、まず要望やこれまでの経緯を聞くところから始まります。その中でふと、「あ、この人、頭がいいな」と感じる瞬間があります。
それは、基礎の大切さをすでに理解している方に出会ったときです。
バレエには、何百年もの積み重ねによって確立された「教授法」が存在します。バーレッスンの順序が決まっているのも、そのほうが確実に上達できるから。つまり、レベル1 → レベル2 → レベル3……と段階を踏んで進めることが、最も効率的な上達の道なんです。
憧れはレベル8。でも始めるのは本当はレベル1
多くの方は、華やかな踊りに憧れてバレエを始めます。
その憧れは、言ってみれば最終レベル7や8の世界。
でも現実的には、まずレベル1から丁寧に積み上げていかなければいけません。にもかかわらず、多くの人はこの**「地味なレベル1や2」**を軽視してしまい、いきなりレベル4あたりのレッスンを受けたがる傾向があります。
そして、そんなニーズに応える形で、街のバレエ教室にも中途半端なレベルのクラスが多く存在しているのが実情です。
本来の「入門」は、もっと地味でいい
さらに悪いことに、レベル1相当の内容を「超入門」などと呼んで、まるで“特別なこと”のように扱っている教室も少なくありません。でも、基礎は基礎。「超」なんてつけなくても、本当はそれがスタートラインのはずです。
つまり、バレエを始めたばかりの人に、ちゃんとレベル1のレッスンを提供できていない。それが、バレエ界の構造的な問題でもあります。
数年後、気づく「壁」の存在
基礎を飛ばして始めたバレエは、見た目には早く上達しているように見えます。
でも、必ず“超えられない壁”がやってきます。
しかもその壁は、5年後、10年後と、だいぶ先になって突然現れます。
そのときになって「どうしてもイタリアンフェッテができないんです」なんて悩み始めても、もう手遅れ。先生に「じゃあ、基礎から見直しましょう」と言われたときの絶望感……想像できますよね。
私が提供しているのは「レベル0の身体作り」
私がしているのは、バレエに必要な身体の基礎を作る「レベル0」のトレーニングです。
具体的には、バレエを踊るために必要な身体の使い方や安定性、動きの質などを、エクササイズを通して整えていきます。ここを整えてからバレエを始める人は、その後の伸びがまったく違います。
経験的に“近道は遠回り”と知っている人たち
頭のいい人は、経験的に「基礎をすっ飛ばすと絶対に行き詰まる」ということを知っています。それが未知のバレエの世界であっても、本能的に“土台が大事だ”と感じ取り、私のような基礎トレーニングを探して来てくれるんです。
実際、優秀な先生方も「どうやったらイタリアンフェッテができるか」といった質問には、ちょっとうんざりしていることが多いです。それって本当は、レベル1〜5くらいの要素をきちんと積み重ねていれば、自然とできるようになるものだから。
地味な基礎練習が、最も“賢い選択”
基礎のレッスンって、地味です。
バレエに憧れる人が、あの地味な基礎練習に心を打たれることは、まずありません。
でも、断言します。
基礎を軽視して「よく踊ること」ばかりに意識を向けていると、絶対に超えられない壁にぶつかります。
しかもその壁を乗り越えるには、数年単位で地味な練習をやり直す必要があります。
今までできていたジャンプや回転を一度リセットしなければいけないので、精神的にもつらい。
だからこそ、最初に基礎を選ぶことが、一番の近道なんです。
最後に──あなたは「基礎」をどう考えていますか?
頭の良い人は、バレエでもそれ以外でも、“最初が大事”ということを知っています。
あなたは、バレエの基礎をどのように捉えていますか?
もしも今「踊ること」ばかりに気を取られていたら、少し立ち止まってみてください。
そして、ぜひ「レベル0」から、あなたのバレエを整えていきましょう。