こんにちは、大人バレエアカデミー™、バレエトレーニングディレクターの猪野です。

 

バレエをやっているのだから、上手く踊れるほうがいいと思いますよね。

脚を高く上げたいし、回転も安定させたい。ジャンプもきれいに跳べるようになりたいと思います。

そのためには当然、大きく動く練習も必要です。

ただ、レッスンで身体を見ていると、今やっている動きをそのまま大きくしても上手くならない人がいます。

 

たとえば、横に脚を上げたときに骨盤まで一緒に持ち上がってしまう人。

本人はもっと脚を高くしたいので、そのまま上へ上げようとします。

でも、その身体の使い方のまま高さだけを増やせば、股関節から脚を高く上げるのではなく、骨盤を持ち上げる動きが大きくなります。

こういう場合は、脚をいったん低くしてもらいます。

30度ならどうなのか。

そのくらいの高さまで下げると、骨盤を保ったまま脚を動かせる人もいます。

 

では、どこから骨盤が動き始めるのか。

40度なのか、45度なのか。

そこを見ると、単純に「脚が上がらない」という話ではなくなってきます。

高く上げる練習をする前に、どこから身体の使い方が変わってしまうのかを知ったほうがいいんです。

脚が高くなったことと、上手くなったことは同じではない

脚が以前より高く上がれば、変化は分かりやすいです。

ピルエットも、一回転だったものが二回転になれば、自分でもできるようになったと感じます。

もちろん、それ自体は悪いことではありません。

ただ、脚を高くするために腰を反るようになっていたら、その高さをそのまま上達とは言えません。

回転数は増えたけれど、身体を大きく振って勢いで回っているのであれば、それも一度見直したほうがいい。

 

身体は、その人が今持っているやり方を使って、何とか目的を達成しようとします。

脚を高くしたい。でも股関節だけではそこまで動かない。そこで骨盤も動かす。

回りたい。でも片脚の上に安定して乗れない。そこで勢いを使う。

これは本人が間違ったことをしようとしているわけではありません。

 

むしろ、言われたことを一生懸命やろうとした結果です。

問題になるのは、その動きを何度も繰り返しているうちに、それが自分の動きとして定着してしまうことです。

毎回骨盤を持ち上げて脚を上げていれば、それが脚の上げ方になる。

ピルエットのたびに上半身を振っていれば、それが回転の入り方になる。

大きく動く練習をたくさんしたからといって、欲しかった身体の使い方を練習できているとは限りません。

タンデュを見ると、その先で起きることが分かる

タンデュでは足を床から上げません。

床を使いながら脚を出して、また戻してきます。

この動きの中ですでに骨盤が動いている人がいます。

横に出すと骨盤が一緒についていく。後ろに出すと腰を反る。戻すときには脚より先に身体が動いてしまう。

そういう状態のまま脚を高くすると、タンデュで起きていたことがさらに大きな動きとして出てきます。

ところが、本人が困っているのはデヴェロッペなので、デヴェロッペをもっと練習しようとする。

 

ここでずれが起きます。

デヴェロッペの中で突然問題が始まったわけではなく、もっと前のタンデュですでに同じことが起きているからです。

だったら、そこを変えたほうが話が早い。

ピルエットでも同じことがあります。

回転が苦手だという人に、回らずパッセで立ってもらうと、そこで立てないことがあります。

回っていないのに骨盤がずれて、身体が傾いてしまう。

それなら、スポットを速くする練習や腕を素早く閉じる練習をしても意味がありません。

回転の問題ではなく、回る前にすでに立てていないからです。

ピルエットという完成した動きだけを見ていると分かりません。

少し手前まで戻すと、どこから崩れているのかが見えてきます。

大きな動きの中では、身体の使い方まで考える余裕がなくなる

新しい身体の使い方を覚えるときに、最初からセンターの大きな動きの中で試すのは難しいです。

たとえば股関節の使い方を変えようとしている人がセンターに出れば、脚のことだけ考えているわけにはいきません。

軸脚にも立たなければいけないし、骨盤を保ちながら腕や顔も使います。そこに音楽が入って、アンシェヌマンの順番まで覚えなければいけない。

身体の使い方を一つ変えようとしている人にとっては、これだけで十分難しくなります。

トレーニングではできていたことが、バレエになるとできなくなるのも不思議ではありません。

だから、大人バレエアカデミー™では必要に応じて条件を変えます。

 

バーにつかまったほうが身体を確認できるなら、そこでやります。脚の高さを下げることもありますし、腕をつけないで脚だけ確認することもあります。

そうやって身体の使い方が分かったあとに、実際のバレエへ戻していく。

最初から完成した形でできることを求めているわけではありません。

たくさん動けば上手くなるわけではない

90分のレッスンでセンターまで進んで、回転もジャンプもたくさんやれば、しっかりバレエをやった感じはあると思います。

それを楽しむこと自体はいいんです。

ただ、上達したいのであれば、レッスンでどれだけ多くのことをやったかとは別に、その日、自分の身体の使い方が何か変わったかも見たほうがいいと思っています。

今までタンデュをするたびに動いていた骨盤が、少し保てるようになった。

パッセで初めて、自分がどこに乗れば立てるのか分かった。

こういう変化は地味です。

でも、その身体の使い方は、その動きだけで終わりません。

タンデュで覚えたことがデヴェロッペにつながることもありますし、片脚で立つ感覚が分かれば回転にもつながります。

大人はバレエだけをやって生活しているわけではありません。

仕事もありますし、毎日何時間も練習できる人ばかりではありません。

だからこそ、できない動きを繰り返すだけではなく、なぜできないのかが分かることのほうが重要だと思っています。

基礎は簡単な練習ではない

大人バレエアカデミー™では基礎を重視しています。

これは、初心者だから簡単なことをやらせているという意味ではありません。

タンデュでも、身体の使い方まできちんと見れば簡単ではありません。

軸脚の上にどう立っているのか。骨盤を保ちながら股関節から脚を動かせているのか。足裏をどう使って、最後につま先まで伸ばしているのか。

そこまでやると、ただ足を出して戻す動きではなくなります。

 

プリエも同じです。

膝を曲げて伸ばしているだけなら簡単ですが、その上にどう立っていて、股関節や膝をどう使っているのかまで考えれば、その後のジャンプにも関わります。

だからジャンプが上手くいかない人に、ジャンプばかり練習してもらうとは限りません。

回転を変えるために、回らずに立つことをやる場合もあります。

本人からすれば、やりたい技から離れたように感じるかもしれません。

でも、そこで問題が起きているなら、そこを飛ばしても先には進めません。

勢いをなくすと、自分が何をしていたのか分かる

大きな動きや速い動きでは、勢いでできてしまうことがあります。

一回転はできるのに、パッセで止まろうとすると立てない。

グラン・バットマンなら脚は高く上がるのに、ゆっくり低い位置まで出すと骨盤が動く。

そういう人は、できていると思っていた動きの中で、実際には別のところを使っていたことがあります。

ここが分かると、練習する内容が変わります。

ピルエットをもっと回ることではなく、まず片脚の上にきちんと乗る。

脚を何回も高く上げるのではなく、骨盤が動き始める手前まで戻してみる。

できない理由が分からないまま同じことを繰り返しているより、何が邪魔をしているのかを一つ見つけたほうが練習はしやすくなります。

上手い人は、大きく動く前から違う

上手い人を見ると、脚の高さや回転数は分かりやすいです。

でも、見てほしいのは、その動きに入る前です。

脚を上げる前にどう立っているのか。ピルエットに入る前の身体がどこに乗っているのか。ジャンプの前のプリエがどうなっているのか。

上手い人は、脚を90度にした瞬間だけ急に身体の使い方が良くなるわけではありません。

タンデュの時点からすでに違います。

だから高くしても崩れない。

先生が90度まで脚を上げているから、自分も90度まで上げれば同じ練習になるわけではありません。

自分が45度までなら身体を保って動かせるのであれば、今はそこで練習したほうがいい。

45度の中で身体の使い方が分かった結果として、少しずつ高さを出せるようになっていけばいいんです。

大きく動く練習も、もちろん必要です

小さく動いていれば、それだけでバレエが上手くなるわけではありません。

最終的には大きく踊る必要があります。

ただ、身体の使い方が分からないまま大きさだけを求めると、今できる癖を使って動きを大きくしてしまいます。

脚を低くした状態では骨盤を保てるのに、ある高さを超えたところから骨盤が動くのであれば、その境目をどう越えるかを練習する。

一回転は安定しているのに二回転になると急に身体を振り始めるなら、回転数を増やすこととは別に、どこで軸が崩れているのかを見る必要があります。

小さい動きの中で覚えた身体の使い方を、大きくしても残せるようにしていく。

そのために大きく動く練習があります。

だから、「もっと大きく動けば上手くなる」とは考えていません。

大きくしたときに、それまでできていたことが消えていないかを見ることのほうが大切です。

何年やっても同じところで困っているなら、一度見せてください

何年もバレエを続けているのに、毎回同じ注意をされている。

脚を高く上げようとすると、どうしても骨盤が動いてしまう。

ピルエットを練習しているのに、なかなか安定しない。

そういう場合、今困っている技そのものとは別のところに原因があるかもしれません。

自分では回転の問題だと思っていたけれど、実際にはその前に立てていなかった、ということもあります。

大人バレエアカデミー™では、できない動きをただ繰り返すのではなく、どこから身体の使い方が変わっているのかを見ながらレッスンをしています。

基礎をやるのも、基礎をやること自体が目的ではありません。

上手く踊れるようになるために必要だからやっています。

今までレッスンに通っていても、何を直せばいいのかよく分からなかったという方は、一度体験レッスンに来てみてください。

自分では気づかなかったところが分かるだけでも、練習の仕方は変わります。

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