こんにちは。
大人バレエアカデミーの猪野です。
皆さんはバレエのレッスン中、こんな注意を受けたことはありませんか?
-
「もっと飛べれば脚は伸びるのよ!」
-
「いいからダブルくらいで崩れないで!」
-
「もっと速く脚を動かして!」
言っていることは一見正しい。でも、「それができたら苦労しないよ……」というような注意ばかりだったりしませんか?
バレエの先生は“誰でも”なれる現実
残念ながら、バレエ教師というのは資格がなくても名乗れてしまう職業です。
とはいえ、多くの先生は元プロダンサーですし、踊りの才能に恵まれた方々です。
ただ、 「踊れる人」=「教えられる人」ではない というのが、現場で多く見かける問題でもあります。
「できる人」と「できない人」の感覚の違い
プロになる人の多くは、努力もしているけれど、それ以上に「やってみたらできた」という経験をしてきています。
だからこそ、 できない人の気持ちがわからない というのもよくあることです。
そうなると、教え方も自然と “トップダウン”型 になります。
トップダウン型の教え方とは?
「とりあえず難しい技をやらせてみて、できなければその理由を探す」
これがトップダウン型の典型です。
たとえば、
いきなりピルエットをやらせてみて、
できなければ「じゃあバランスの練習ね」というように。
この方法は、先生と同じくらいの才能を持つ生徒には非常に有効です。
爆発的に上達することもあります。
でも、 多くの大人の初心者にとっては、つまずきやすく、挫折しやすい方法でもあります。
ボトムアップで学ぶということ
私は、 “ボトムアップ”型の指導 を大切にしています。
まずはまっすぐ立つこと。
そこから片足で立つ、ルルベに上がる、1/8回ってみる。
こんなふうに、 土台から丁寧に積み上げていく方法 です。
このやり方のメリットは、何と言っても「綺麗に踊れるようになること」。
そして、 上達の階段を一段ずつ登っている実感がある ことです。
もちろん、即効性はありません。
人によっては地味でつまらないと感じるかもしれません。
でも私は、この方法が最も迷いが少なく、確実に上達できる道だと信じています。
レッスンが「できなさすぎる」と自信を失う
スポーツジムやカルチャー系のスタジオの多くは、集客の都合もあり、華やかさを重視する傾向にあります。
だからレッスン内容もトップダウン型に寄りがちです。
その場の「踊った気分」を味わえるのは楽しいかもしれませんが、
あまりにレベルが合っていないと、「自分には向いてないのかも」と自信を失ってしまうこともあります。
上達しないとき、見直すべきポイント
もしあなたが最近「上達している気がしない」「なんとなくつらい」と感じているなら、
自分がいま受けている指導が、才能ある一部の人向けのメニューになっていないかを疑ってみてください。
誰かの成功モデルをそのまま当てはめても、すべての人が同じように伸びるわけではありません。
最後に
私は、大人になってからでもバレエを楽しみたいという方にこそ、
丁寧に、着実に、身体の土台から積み上げていくことをおすすめしたいと思っています。
バレエに必要なのは、才能よりも積み重ねです。
無理なく、でも確実に上達する道を、一緒に歩んでいきましょう。