こんにちは、大人バレエアカデミー™、バレエトレーニングディレクターの猪野です。

バレエのレッスンをしていると、かなりよく聞かれる質問があります。

「どこに力を入れればいいですか?」

 

お腹に力が入りません。

体幹が弱いです。

ターンアウトが保てません。

足が上がりません。

軸がぐらぐらします。

 

そういう時に、

「じゃあ、どこに力を入れればいいんだろう」

と考えてしまう人が多いです。

 

でも、ここだけは最初にはっきりさせておきたいのですが

バレエは、力を入れれば上手くなるものではありません。

むしろ、

「よし、ここに100%力を入れよう」

と思った瞬間に、踊りは崩れます。

 

人間の身体は、一か所だけに力を入れ続けるのが苦手だからです。

試しに、手をぎゅっと強く握ってみてください。

最初は手だけに力を入れているつもりだと思います。

でも、そのまま続けていると、

前腕にも力が入ってきます。

肩にも力が入ってきます。

首にも力が入ってきます。

背中まで固くなってきます。

最終的に全てが固まります。

 

これはバレエでも同じことが起きます。

「お腹に力を入れなきゃ」

と思って、レッスン中ずっとお腹を頑張る。

そうすると、最初はお腹だけのつもりでも、

だんだん肩が上がります。

首が固まります。

背中が反ります。

脚も動きにくくなります。

 

そして先生に

「肩の力を抜いて」

「首が固いよ」

「もっと楽に動いて」

と言われます。

 

そこで力を抜きます。

すると今度は、

「お腹が抜けてるよ」

と言われる。

もう、何をすればいいのか分からなくなります。

 

でもこれは、

根性が足りないからではありません。

考え方の順番が違うんです。

お腹を使うことは大事です。

体幹を使うことも大事です。

 

ただし、

それは「ずっと100%で力を入れる」という意味ではありません。

 

バレエで必要なのは、

力を入れ続けることではありません。

必要な時に、

必要な場所を、

必要な分だけ使うことです。

 

たとえば、料理で考えると分かりやすいです。

弱火でいい場面なのに、

ずっと強火しか使えないコンロだったらどうでしょうか。

焦げます。

じっくり火を通したいのに、全部焦げます。

バレエの身体も同じです。

本当は20%くらいの力で支えればいい場面があります。

でも、そこで100%力を入れてしまう。

そうすると、身体が固まります。

動きが遅くなります。

音楽に乗れません。

首も肩も固まります。

見た目も重くなります。

逆に、ジャンプの踏み切りや着地では、

一瞬しっかり支える力が必要です。

 

グランバットマンで脚を上げる時も、

身体が持っていかれないように支える力が必要です。

でも、それは一瞬です。

ずっと100%ではありません。

20%で支える時もある。

50%で使う時もある。

一瞬だけ80%、100%に近くなる時もある。

そしてまた抜く。

また伸びる。

また動ける状態に戻す。

レッスンで練習しているのは、ここです。

 

筋肉をずっと強く使う練習ではありません。

筋肉の出力を調整する練習です。

だから、

「お腹が弱いから、レッスン中ずっとお腹を頑張ります」

というのは、かなり危ないです。

 

それをやると、踊りが固まります。

では、お腹が弱い人はどうすればいいのか。

 

まず、お腹だけを使う練習をしてください。

いきなり踊りの中で解決しようとしないことです。

お腹が使えない。

でも、プリエもする。

音楽も聞く。

腕もつける。

脚も出す。

顔もつける。

順番も覚える。

その中で、

「お腹を使おう」

とする。

いや、難しすぎます。

 

例えば、針の穴に糸を通す練習をしたいのに、

片脚でつま先立ちをしながら、

ふらふらした状態で糸を通そうとしているようなものです。

まず、糸を通す練習だけをすればいいんです。

 

お腹を使えないなら、

まずお腹を使う練習だけをする。

体幹が弱いなら、

まず体幹を支える練習だけをする。

ターンアウトが保てないなら、

まずターンアウトに必要な筋肉を確認する。

これがエクササイズやトレーニングの役割です。

 

トレーニングは、踊りそのものではありません。

でも、踊るために必要な身体の出力を上げるためには、とても大事です。

今、自分の腹筋や体幹の出力が50までしか出せないとします。

その状態で、レッスン中に70や80を出そうとすると、

足りない分を他の場所で補おうとします。

 

肩で頑張る。

首で頑張る。

背中で頑張る。

前ももで頑張る。

その結果、全部が固まります。

 

だからまず、

使える力の上限をトレーニングで上げる。

そしてレッスンでは、

その力をどう使い分けるかを練習する。

ここを分けて考えないといけません。

 

エクササイズは、

狙った筋肉を使えるようにする練習です。

バレエのレッスンは、

その筋肉を踊りの中でどう使い分けるかを学ぶ練習です。

 

この2つは、目的が違います。

ここを一緒にしてしまうと、

レッスン中にずっと力を入れることになります。

それでは踊れません。

バレエは、力比べではありません。

身体を固める競技でもありません。

支えるところは支える。

抜くところは抜く。

強くなる瞬間は強くなる。

でも、次の瞬間には動ける状態に戻る。

 

この切り替えが必要です。

だから、レッスン中に

「力を入れなきゃ」

と思った時は、一度疑ってください。

 

本当に今、力が必要なのか。

それとも、

力の入れ方を間違えているのか。

そもそも、

その動きの中で解決しようとしていることが難しすぎるのか。

ここを分けて考えるだけで、かなり変わります。

 

大人のバレエでは、特にここが大事です。

大人は真面目です。

先生に

「お腹を使って」

と言われたら、本当にお腹を頑張ります。

「もっと引き上げて」

と言われたら、全身で頑張ります。

「ターンアウトして」

と言われたら、脚を必死に回そうとします。

でも、頑張り方を間違えると、上達から遠ざかります。

 

バレエで必要なのは、

力を入れることではなく、

力を扱えるようになることです。

これを覚えておいてください。

お腹を使う。

体幹を使う。

ターンアウトをする。

全部大事です。

 

ただし、

ずっと100%ではありません。

必要な時に、

必要な分だけ、

必要な場所を使う。

これができるようになると、踊りはかなり変わります。

 

 

バレエは、ただ力を入れても上手くなりません。

お腹が弱いなら、

まずお腹を使う練習をする。

体幹が弱いなら、

まず体幹のエクササイズをする。

そしてレッスンでは、

その力をどのタイミングで、

どのくらい使うのかを練習する。

ここを間違えないでください。

 

力を入れたくなったら、

だいたい何かが違います。

「もっと力を入れる」ではなく、

「何を、どのくらい、いつ使うのか」

ここに意識を向けてみてください。

 

大人バレエアカデミー™では、

ただ楽しく動くだけではなく、

大人がきちんと上達するための基礎を大切にしています。

どうせバレエをやるなら、少しずつでも上手くなりたい。

そのために、身体の使い方からきちんと学びたい。

 

そう感じる方には、大人バレエアカデミー™はとても合っていると思います。

力を入れるのではなく、力を使い分ける。

ここをぜひ、次のレッスンで意識してみてください。

 

 

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