猪野恵司 こんにちは、西新宿、銀座、池袋、錦糸町、芝、浜松町、横浜、大阪梅田で
運営する大人バレエアカデミー、
バレエトレーニングディレクターの猪野です。
このバレエの世界は一般社会から比べるとかなり特殊で、
踊りが上手い奴が正しい、という価値観がかなりはびこっています。
意見を言うのに必要なのは合理性ではなく、
ダンスが上手くてそこで結果を出したかということ
なぜ、そんなことになるのかを解説していきます。
例えば、料理をして「美味しい」と言われたとき、嬉しかった。
その経験がきっかけで、料理が好きになった。
ただそれだけの、とても自然な心の流れ。
実は、踊ることが好きになった人の多くも、根っこは同じです。
「綺麗だったよ」「よくなったね」「素敵だった」
誰かにそう言われた瞬間が嬉しくて、もっと踊りたくなった。
「誰一人にも認められたことがないけれど、それでも踊りが好きでプロを目指した」なんて話は、正直ほとんど聞いたことがありません。
つまり、踊りの動機の多くは「他者評価」から始まっている。
そして問題は、その価値観がそのまま、大人になってからもプロの現場になっても、ずっと更新されないままでいることです。
長く踊っている人ほど、
「踊りが上手い人＝正しい人」
「上手い人＝意見を言う権利がある人」
という極めて限定的な世界観の中に生きてしまっている。
なぜならバレエ団にいれば自ずと踊りの上手い奴が上にいき、そしてその意見もバレエ団に通りやすくなります。その価値観が引退まで続きます。
だからこそ、何かを正しく指摘したときでもそれが図星であればあるほど返ってくるのは——
「あなたの踊りのレベルで何を言ってるの？」という言葉。
そこには、「正しさ」を受け取るだけの視野がない。
踊りが上手いかどうかと、意見が的を射ているかどうかは、本来まったく別の評価軸です。
でも、その区別ができなくなっている人が、踊りの世界にはあまりに多い。
そしてそういう人たちが、踊りが上手かったから上の立場に立ち、影響力を持ち、業界の常識を作っていく。
結果として、「踊りが上手い＝偉い」「踊りの技術がある＝人格も能力優れている」という幻想が、まるで自然なことのように刷り込まれていってます。
「上手いから偉い」ではなく、「視野が広いから信頼される」世界へ
踊りの世界は、もう少し外の世界の広さを見た方がいいように思います。
踊りが上手いことと、マネージメントを考えることは全く別の問題です。
違う視点を持つのは普通であることをもう少し考えてみた方がいいかもしれません。
小学生の時にあった、ドッチボールが強い奴が偉い
みたいな価値観で外の世界は回ってないことに、もう少し目を向けてほしいです。
