大人バレエアカデミー、バレエトレーニングディレクターの猪野です。

大人になってからバレエを始めた方。
子どもの頃に少しだけ習って、最近またレッスンを再開した方。

そんな皆さんに向けて、今日は
「先生のお手本って、本当にそこまで大事なの?」
というテーマでお話しします。

よくある宣伝文句に

「現役ダンサーが教えます」
「素敵なお手本でレッスン!」

というものがあります。
見ているだけでもワクワクする光景かと思います。

一方で、大人バレエアカデミーでは
先生の「綺麗なお手本」を、いちばんの売りにはしていません。

これは、単なる逆張りではなく

はっきりとした理由があるからです。

まずは結論から言わせてください。

レベル1の人に、レベル99の技を見せても
上達にはしません。

だから私たちは
「すごいお手本」より
「分かる説明」と「段階づくり」を優先しています。

例えば、現役ダンサーが踊る姿を見て

「なんであんなに高く飛べるの?」
「どうしてあんなに脚が綺麗に上がるんだろう?」

と思ったことはありませんか?

多くの場合、その答えは分かりません。

・どこで力を入れているのか
・どこを脱力しているのか
・どんな順番で身体を動かしているのか

そのプロセスが分からないまま
「すごい…!」だけで終わってしまうのです。

もちろん、見ている分には楽しいですし
ショーとしての価値はとても高いです。

ですが

「自分が出来るようになる」

という視点で見ると、
レベル1の人にレベル99の完成形だけを見せても

「で、自分は明日から何をしたらいいの?」

というところが、さっぱり分からないのです。

バレエの動きは、突き詰めると手品のようなところがあります。

妖精みたいに軽く見えたり
ふわっと回っているように見えたりしますが

その裏側には、とても地味な基礎の積み重ねと
身体の使い方の工夫があります。

上達のヒントは、この「地味な過程」の中にあります。
最後の派手な答えだけを見ても、持ち帰れるものは少ないのです。

 

ここで、レッスンの具体的な場面をひとつ挙げてみます。

例えば、センターでの小さなジャンプ(アレグロ)が怖い生徒さんがいたとします。

・ジャンプをすると、どうしても上半身が前に倒れてしまう
・軸がグラグラして、着地のたびにバランスを崩す

ここで先生が

「はい、こうやって跳びます」と
完璧なジャンプを何度も見せても

生徒さんは

「すごい…でも、私は無理」

で終わってしまいがちです。

大人バレエアカデミーの先生は、こうします。

・まずバーに戻って、プリエの形と足裏の体重の位置を一緒に確認する
・膝とつま先の向きを揃える
・かかとをいつ離して、いつ下ろすのかを、一拍ずつ区切って練習する
・その上で、バーから片手を離して小さなジャンプへつなげる

いきなり「高く跳ぶ」ではなく

「これなら出来そう」という
小さなステップを積み重ねていきます。

このときに必要なのは

完璧なジャンプを何度も披露できる先生
ではなく

・生徒さんがどこで怖くなっているのか
・どの関節から順番に整えていけば、安全に跳べるのか

を見抜いて、言葉と練習メニューに落とし込める先生です。

つまり

ダンサーとしての能力と
教師としての能力は、まったく別物です。

大人バレエアカデミーでは

・自分がどれだけ踊れるか

よりも

・相手のレベルに合わせて、言葉と練習を組み立てられるか
・「なぜ出来ないのか」を、身体の使い方から説明できるか
・少し上の段階に、安全に引き上げるステップをつくれるか

こういった「教師としての素養」を重視して
指導にあたる人間を選んでいます。

私たちが大切にしているのは

バレエの動きを綺麗に見せること、ではなく
バレエの動きを、あなたが出来るように指導すること

です。

・基礎を大事にしたい
・その場しのぎではなく、ちゃんと上達したい
・出来ない理由を、きちんと知りたい

もしここまで読んで
「これ、自分のことかもしれない」と
少しでもドキッとした方へ。

物事を本当に上達させるのは
派手な「お手本」ではなく

毎回のレッスンで積み重ねる、地味だけれど確実な基礎と
それを分かりやすく伝える「先生の言葉」です。

この考え方に共感していただけた方は
ぜひ一度、大人バレエアカデミーの体験レッスンにお越しください。

スタジオでお会いできるのを、心から楽しみにしています。

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