大人バレエアカデミー、バレエトレーニングディレクターの猪野です。
バレエを指導しているとよく聞かれることがあります。
「週1でも上手くなれますか?」
「週3も通っているのに、なぜか伸びません」
おそらく結構多くの人が同じような疑問を持っているのではないでしょうか。
今回は練習回数と上達についての関係とやり方をお話していきます。
(根拠となるものはサイトに飛べますので興味があればどうぞ)
最初にこれは押さえてほしいこと
上達を決めるのは、実は回数そのものより「練習の間隔の取り方」です。
それが「分散練習」です。 Semantic Scholar
分散練習とは具体的に何のこと?
分散練習とは一言で言うと、
同じ課題を、短い時間で、日をまたいで、何回もやることです。
ちなみに逆が「詰め込み(集中)練習」です。
1回で90分やる、よりも
10分を別の日に3回やる、のほうが残りやすい。
こういう傾向が、いろいろな分野の研究をまとめた結果でも出ています。 Semantic Scholar
週1と週3の「差」が出るポイント
週1でも伸びる人がいます。
週3でも伸びない人がいます。
違いはこの分散練習にあります。
週1でも伸びる人は、次のレッスンまでに「短い分散練習」を入れています。
週3でも伸びない人は、レッスン以外がゼロ、もしくは毎回やりすぎて疲労で崩れていたりします。 PubMed
よくあるパターンを4つにありまして
A:週1+家でゼロ
その週にやったことが、次の週までに薄れる。レッスン当日は良くても、定着が弱い。 PubMed+1
B:週1+分散練習(10〜15分を週2〜4回)
上達しやすい。レッスンで「思い出す時間」が短くなって、修正が前に進む。 Semantic Scholar+1
C:週3+分散なし+毎回フルパワー
その場の達成感は出るのに、次の日に残らない。疲労でフォームが崩れて、悪い形を逆に覚えます。 PubMed
D:週3+短い分散練習+回復を確保
いちばん上達するやり方。やる量ではなく、回復込みで設計している。 PubMed+1
なぜ分散すると上手くなるのか
理由はシンプルで
レッスン直後にできた、は「その場のパフォーマンス」なことが多いです。
まぐれなんかもありますよね。
本当に上達したかは、時間が空いたあとにもう一度それを再現できるかで決まります。 PubMed+1
そしてその「時間が空いたあとに、もう一回思い出してやる」が、いちばん効率がいい練習になります。 Semantic Scholar
さらに、睡眠を含む回復の時間が、運動スキルの定着に関わることも示すものもあります。(ただし、すべての課題で睡眠が必ず有利とは限らない、という報告もあります)。 PubMed+2PubMed+2
今日からできるおすすめ
分散練習は、長くしないのがポイントで
短いほど継続しやすくなります。
今回の目安は12分です。
・3分:プリエ(立ち方を崩さない)
・3分:ルルベ(片脚で静止)
・3分:タンデュ(足の三角形をつぶさない)
・3分:動画を撮って、1つだけ直す
週1の人ほど、この12分を週2〜4回入れると効果的です。
週3の人は、これを「疲れない強度」でやってください。
追い込み過ぎて疲れると学習が遅くなったり、
変な癖がついたりする可能性が高まります。 PubMed
うまくいっているかの判定基準
曖昧にしないことと、数字や明確な位置などでみるのが大切です。
・片脚ルルベ静止:10秒を左右
・タンデュ:狙った場所に見なくても出せる
・プリエ:骨盤を動かさない(動いたらそこで終了)
「できた/できない」ではなく
「どこまでなら崩れないか」を毎回はっきりさせましょう。
よくある言葉の捉え直し
☆「週1だから上達しない」
→ 週1でも、きちんと間に短い分散練習が入れば上達は可能です。 Semantic Scholar
☆「週3行けば勝手に上手くなる」
→ ならないです。疲労で崩れた動きを覚えてしまったら逆効果です。 PubMed
☆「レッスンでできたから、もうできる」
→ それは“その日だけ”かもしれませn。時間が空いて再現できて初めて本物です。 PubMed+1
まとめ
・分散練習=短い練習を日をまたいで繰り返すこと
・週1の弱点は「間が空きすぎる」こと
・その弱点は、12分の分散練習で埋まる
・週3の落とし穴は「疲労で崩れた動きを覚える」こと
・上達は、回数ではなくどうやるかで決まります
レッスンは「学習の始まり」を作る場所です。
そのやり方を、短く分散して反復すると
週1でも週3でも上達していけるはずです。
自分の生活も考えつつ、上達していきましょう



