こんにちは、大人バレエアカデミー™、バレエトレーニングディレクターの猪野です。
ジャンプのあと、自分の着地の音にドキッとしたことはありませんか。
先生は音もなく降りてくるのに、自分の着地は「ドスン」と響く。
跳ぶことより、降りることのほうが難しい。
そう感じている方もいるかもしれません。
着地の音は、床にかかる衝撃を知るひとつの目安になります。
2026年には、ダンサーの着地を調べた研究がいくつか発表されました。
足の向きで、着地の衝撃は変わるのか
ダンス医学の専門誌『Journal of Dance Medicine & Science』に、着地のときの足の向きと衝撃の関係を調べた研究が掲載されました。
対象は、平均13年の経験があるバレエダンサー17人と、ダンス経験のない15人です。
30センチの台から跳び降り、そのまますぐ真上へ跳び上がってもらいました。
足をそろえて平行にした場合と、アン・ドゥオールで外に開いた場合の両方で、床にかかる力を測っています。
アン・ドゥオールの着地では、衝撃が早く届く
結果は、アン・ドゥオールで着地したほうが、床にかかる力が最大になるまでの時間が短いというものでした。
足を開いた着地では、衝撃がより早く身体に届くということです。
意外にも、この傾向はダンサーとダンス経験のない人とで違いがありませんでした。
長年バレエを続けてきたダンサーでも、アン・ドゥオールの着地で衝撃を和らげられていたわけではなかったのです。
一方、台から跳び降りたあとに跳び上がる高さは、ダンサーのほうが高くなっていました。
研究者たちは、アン・ドゥオールの姿勢では、バレエの練習は着地の衝撃を減らすことよりも、着地の勢いを次の跳躍に生かす力を育てているのではないか、と考えています。
疲れると、足首は「見えないところで」硬くなる
同じ年には、疲れが着地に与える影響を調べた研究も発表されています。
対象は、18〜29歳で10年以上の経験がある女性ダンサー14人です。
ソテを16回続けて跳び、そのあと1分間の振付を踊る。
この流れを3回くり返してもらい、疲れる前のジャンプと、くり返しの後に跳んだ4回目のジャンプを比べました。
見た目の動きは、ほとんど変わりませんでした。
跳ぶリズムも、足首や膝の曲がり方も、疲れる前とほぼ同じです。
ところが、着地のときの足首は、疲れた後のほうがねじれる方向に硬くなっていました。
疲れる前とは逆に、着地の後半のほうが前半より硬くなるという変化も見られています。
研究者たちは、こうした目に見えない変化が、使いすぎによるケガにつながる可能性があると指摘しています。
静かに着地するための3つのポイント
長年踊ってきたダンサーでも、アン・ドゥオールの着地では衝撃が早く届く。
疲れると、見た目には分からないところで足首が硬くなる。
だからこそ、着地の仕方を意識して練習することには意味があると、私は考えています。
ここから先は、研究ではなく、私がレッスンで伝えていることです。
つま先、足の裏、かかとの順に降りる
着地は、つま先、足の裏、かかとの順に床に触れていくのが基本です。
足の裏全体で一度に降りると、衝撃が一気に身体に伝わります。
足首をクッションのように使って、衝撃を受け止めるイメージを持ってみてください。
プリエで衝撃を受け止める
着地の瞬間に、膝をやわらかく曲げてプリエをとります。
膝を伸ばしたまま降りると、衝撃が膝や腰にまで響きます。
このとき、膝はつま先と同じ方向に曲げましょう。
アン・ドゥオールで着地するときは、膝だけが内側に入らないよう気をつけてください。
疲れてきたら、高さより着地を優先する
疲れてくると、見た目は変わらなくても、着地のときの足首が硬くなることがあります。
ジャンプの後半で着地の音が大きくなってきたら、高く跳ぶことより、静かに降りることを優先しましょう。
回数を減らすのも、立派な選択です。
着地の音は、身体からのサイン
着地の音が大きいと、恥ずかしく感じるかもしれません。
けれど、その音は、いまの身体の状態を教えてくれる大切なサインでもあります。
次のレッスンでは、ジャンプの高さではなく、着地の音に耳を澄ませてみてください。
最初の数回と最後の数回で、音がどう変わるかを比べてみるのもおすすめです。
参考文献
Correia E, dos Santos LHCC, Dias MS, Romero RC, Souza LP, Freitas SMSF, de Freitas PB. Effect of Foot Orientation on Landing Impact Forces Following a Drop Jump in Ballet Dancers. Journal of Dance Medicine & Science. 2026.
https://doi.org/10.1177/1089313X251359423
Mikkelsen P, Yamaguchi AC, Tang Y, Kulig K. Dancing Through Exertion: How Dancers Retain Lower Extremity Kinematics During Ballet Jumps. Journal of Dance Medicine & Science. 2026.
https://doi.org/10.1177/1089313X261443136




