こんにちは、大人バレエアカデミー™、バレエトレーニングディレクターの猪野です。

レッスンの始めは、高く上がれていたルルヴェ。
ところがセンターの後半になると、かかとが思うように上がらない。
下りるときに、ドスンと落ちてしまう。

そんなとき、「もっと頑張らなきゃ」と自分を叱っていませんか。

実はそれ、ふくらはぎが疲れているサインかもしれません。
疲れたときにルルヴェで何が起きるのかを調べた研究があります。

片脚ルルヴェを、疲れる前と後で比べた研究

掲載されたのは、ダンス医学の専門誌『Journal of Dance Medicine & Science』です。

対象は、現在踊っている、または最近まで踊っていたダンサー14人です。
まず、決まったテンポで片脚ルルヴェを10回行ってもらいます。
次に、ふくらはぎを疲れさせる運動をしてもらい、もう一度、同じように10回行ってもらいました。

そのときの足首の動きと、ふくらはぎやすねの筋肉の働きを、疲れる前と後で比べています。

疲れると、かかとが上がらなくなる

疲れた後のルルヴェには、はっきりした変化が出ました。

かかとの高さが下がりました。
足首の動く範囲も、小さくなりました。
足首を伸ばす動きも、曲げる動きも、どちらも小さくなっていました。

つまり、疲れると、同じルルヴェをしているつもりでも、実際には低く、小さな動きになっていたのです。

ここは何となく当たり前の感じがしますよね。

筋肉は、むしろ頑張っていた

疲れた後、下りるときのふくらはぎの筋肉は、疲れる前よりも強く働いていました。
上がるときの筋肉の働きには、差がありませんでした。
それでも、動きの大きさを保つことはできませんでした。

研究者たちは、ふくらはぎが疲れると、筋肉がいくら頑張っても動きを保てなくなると結論づけています。
そして、疲れた状態やそれに近い状態で動き続けることは、ケガのリスクを高める可能性があるので避けるべきだ、と述べています。

この研究は14人と人数が少なく、片脚ルルヴェという一つの動きだけを調べたものです。
それでも、レッスンの現場で感じることと、よく重なる結果だと思います。

気合いでは、ルルヴェは上がらない

疲れて低くなったルルヴェは、気合いで直せるものではありません。

筋肉はすでに、精一杯働いています。
それでも上がらないのは、やる気の問題ではなく、疲れのサインと考えたほうがよさそうです。

そこで無理に高く上がろうとすると、足首がぐらついたり、膝や股関節でごまかしたりする動きが出やすくなります。
研究者たちも、ケガのリスクを減らすために、疲れた状態で動き続けないよう呼びかけています。

疲れのサインに気づいたら

レッスン中、こんな変化に気づいたら、少しペースを落としてください。

かかとの高さが、いつもより低い。
下りるときに、音を立てて落ちてしまう。
足首が、内側や外側にぐらつく。
ふくらはぎが、つりそうな感じがする。

そんなときは、片脚ではなく両脚のルルヴェに変える。
回数を減らして、一回一回を丁寧に行う。
少し休んで、足首をゆっくり回してから戻る。
それで構いません。

下りるときは、床にそっと着地するように、ゆっくり下りることを意識してください。
研究でも、疲れた後に筋肉の働きに違いが出たのは、下りる場面でした。
上がる高さと同じくらい、下りる丁寧さが大切です。

疲れにくい足首を、少しずつ育てる

疲れのサインに気づいて休むことは、さぼることではありません。
長くバレエを続けるための、大切な技術です。

そのうえで、ふくらはぎの持久力は、少しずつ育てることができます。
まずは両脚のルルヴェを、ゆっくり、正しい形で行う。
慣れてきたら、片脚で、回数を少しずつ増やしていく。

高さを競うのではなく、最後の一回まで同じ形を保てることを目標にしてください。
それが、レッスンの最後まで美しく踊れる足首につながっていきます。

参考文献

Aman M, Brouner J. Consecutive Single-Leg Relevés Results in Altered Movement Pattern and Dorsiflexor and Plantarflexor Muscle Fatigue. Journal of Dance Medicine & Science. 2026;30(3).
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1089313X251347440

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