こんにちは、大人バレエアカデミー™、バレエトレーニングディレクターの猪野です。

レッスンをしていると、

「自分だけできていない気がする」

という話をよく聞きます。

同じクラスの人が自分より脚を高く上げていたり、自分より後から始めた人がピルエットを回れるようになっていたりすると、気になったりしませんか?

自分は何度も同じことを注意されているのに、周りの人はどんどんできるようになっているように見える。

センターに行くと、自分だけ順番が分からなくなる。

そういうことが続けば、「自分はバレエに向いていないのかな」と思うこともあると思います。

でも、レッスンを見ていると、本人が気にしているところと、私から見えているものがかなり違うことがあります。

「できたかどうか」だけでは見えない変化

たとえば、本人はピルエットが回れないことを気にしている。

確かに、まだきれいに一回転できないかもしれません。

でも半年前と比べると、ルルベで立てるようになっていたり、パッセに入るときの身体の傾きが減っていたりする。

そういうところは、本人にはあまり見えていません。

一回転できたかどうかだけで考えると、「まだできない」で終わってしまうからです。

タンデュでも同じようなことがあります。

脚の高さや足先の形は見た目で分かりやすいので、自分でも変化に気づきます。

でも、軸脚が以前より安定していたり、脚を出すときに骨盤が動かなくなっていたりしても、それを自分で感じ取れる人はそれほど多くありません。

バレエは、動きが完成する前に身体の中でいろいろなことが変わっていきます。

そこを飛ばして、最終的にできたかどうかだけを見ると、ずっと上達していないように感じてしまいます。

同じクラスでも、スタート地点は同じではない

それから、同じクラスにいる人たちも、条件はかなり違います。

子どもの頃にバレエを習っていた人もいますし、ダンスやスポーツを長くやっていた人もいます。

大人になってから初めて身体の使い方を習う人もいます。

今どのくらいレッスンに来られるかも違います。

仕事が忙しくて月に数回の人と、週に何度も通える人では、当然身体に入る量も違います。

そういう違いを全部抜きにして、同じクラスにいるというだけで比べてしまうと、自分だけ遅れているように見えてしまいます。

周りを見ることが悪いわけではない

私は、周りを見ること自体が悪いとは思いません。

上手な人を見て参考になることもありますし、先生がほかの人を直しているのを見て、自分のことに気づくこともあります。

ただ、周りの人ができていることを見つけるたびに、

「私はできていない」

と確認するために使ってしまうと、かなり苦しくなります。

覚えるのが早い人が、最後まで伸びるとは限らない

新しい動きを覚えるのが早い人もいます。

一度説明を聞いただけで、ある程度その場で形にできる人もいます。

そういう人を見ると、自分は何回やってもできないと思うかもしれません。

でも、長く教えていると、覚えるのが早いことと、その後どこまで上手になるかは必ずしも同じではないと感じます。

最初はなかなかできなかった人が、何年か経つとずいぶん丁寧に踊れるようになっていることもあります。

何度も同じところでつまずいたから、自分の身体がどう動いているのかを考えるようになった人もいます。

もちろん、時間をかければ全員が同じようにできる、という話ではありません。

身体も違いますし、得意なことも違います。

ただ、今すぐできるかどうかだけを見て、この先もできないと決める必要はないと思います。

「バレエができない」とまとめない

もう一つ気をつけてほしいのは、

「私はバレエができない」

と大きくまとめてしまうことです。

ピルエットが回れないとしても、回転そのものが原因とは限りません。

ルルベで立てていないのかもしれませんし、パッセに入る前に軸がずれていることもあります。

もっと前のプリエで身体が崩れていることもあります。

そうなると、必要なのは何度も無理に回ることではありません。

ジャンプでも同じです。

跳べないから脚力がない、と簡単には言えません。

プリエの使い方が変わるだけで動きやすくなることもあるし、着地で身体を支えられるようになることで、それまで怖かったジャンプが楽になることもあります。

「バレエができない」では、何を練習したらいいのか分かりません。

今どこでうまくいっていないのかが分かれば、そこから練習できます。

注意される内容が変わっているなら、前とは違う

レッスンを長く続けている人ほど、始めた頃のことをかなり忘れています。

最初はバーを持っていてもバランスを取るのが大変だったのに、今は普通にセンターまでやっている。

順番を追うだけで精一杯だった人が、今は顔の方向や腕の使い方を注意されている。

本人は「今日もできなかった」と思っていても、私からすると、注意される内容そのものがずいぶん変わっていることがあります。

以前はそこまで見る余裕がなかったのに、今はもっと細かいところまで直せるようになっているからです。

できることが増えると、その分だけ自分のできていないところも見えるようになります。

始めたばかりの頃より、むしろ「できない」と感じることが増える時期もあると思います。

でも、前は気づくことすらできなかったことが気になるようになっているのであれば、それも以前とは違います。

比べるなら、半年前や1年前の自分とも比べてみる

周りよりできないと感じたときは、周りを見るのをやめろとは言いません。

ただ、その人と今の自分だけを並べて、自分が上達しているかどうかを決めないでほしいと思います。

半年前や1年前の自分と比べてみると、今は普通にやっていることの中に、前はできなかったことがかなりあるはずです。

それを確認したうえで、今できていないことを練習すればいい。

「あの人よりできない」では、次に何をすればいいか分かりません。

でも、「前よりここはできるようになった。今はここで止まっている」と分かれば、次にやることは見えてきます。

私は、その方がバレエを続けていくうえではずっと役に立つと思っています。

大人バレエアカデミー™
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