こんにちは、大人バレエアカデミー、バレエトレーニングディレクターの猪野です。
レッスン中、皆さんは音楽にきちんと耳を傾けていますか?
私は、ダンサーとしての重要な仕事のひとつが「音楽を空間に翻訳する」ことだと考えています。
むしろ、それこそがダンサーとしての価値そのものであるとも言えるでしょう。
例えば、4カウントの音楽に合わせて、タンデュで前に足を出し、
ポジションに戻すという動きの中でも、4カウントという時間を使い、
空間で足を動かしながら音楽とシンクロさせることで、
音楽という聴覚的な刺激を視覚的な表現に変換し、同時に伝えることができるのです。
音楽と踊りは、まるで言語を翻訳するようなものです。
人それぞれの表現には違いがあり、それがダンサーの個性やバレエ団の色を作り出します。
しかし、音楽を「何となく」聴いているだけでは、
どれだけ努力しても心を動かすダンサーにはなれません。
これは、特別な才能を持っているダンサーでない限り、確実に言えることだと思います。
実際、子どもを教えていても大人を教えていても
、音楽全体を使って踊っている生徒はかなり少ないです。
例えば、プリエの最初の動きで、時間をしっかりと使い切らずに、
急いで終わらせてしまっているケースをよく見かけます。
ワガノワバレエ学校などの動画を見ていると、音楽の取り方が本当に見事だと感じます。
しかし、彼らのように身体的に恵まれていなくても、
音楽を使って踊るというスキルは訓練によって習得可能です。
皆さんも、ぜひ音楽をもっと意識して、
プリエやタンデュなどの基本動作から練習してみてください。
それだけで、脚が高く上がるかどうかに関係なく、バレエが格段に美しく見えるようになりますよ。



