バレエは「音楽を空間に翻訳する」芸術である

こんにちは、大人バレエアカデミー™、バレエトレーニングディレクターの猪野です。

今日は、バレエにおける「音楽の聞き方」についてお話しします。

バレエを習っていると、多くの方が身体のことに意識を向けます。

脚をもっと高く上げたい。

ピルエットを安定させたい。

ジャンプを軽くしたい。

つま先を伸ばしたい。

姿勢をきれいにしたい。

もちろん、これらはすべて大切です。バレエは身体を使う芸術ですから、身体の使い方が雑であれば、表現したいことを正確に出すことはできません。

ただし、ここで忘れてはいけないことがあります。

バレエは、ただ身体を動かすものではありません。ただの体操ではないのです。

バレエは、音楽を身体で見せる芸術です。

どれだけ脚が上がっても、どれだけ回転ができても、どれだけ柔軟性があっても、音楽との関係が薄ければ、踊りにみえにくくなります。

同じ振付をしているのに、ある人は美しく見える。

同じプリエをしているのに、ある人は音楽と一体になって見える。

同じデヴロッペをしているのに、ある人は踊っているように見え、別の人は脚を上げ下げしているだけに見える。

この差は、身体能力だけではないのです。

大きな違いは、音をどう受け取り、その時間をどう身体で扱っているか

そして、それがダンサーの仕事となり、プロとアマの最大の違いともいえるのです。

見たい方はこちら↓

ダンサーの仕事は、音楽を空間に翻訳すること

私は、ダンサーの仕事は「音楽を空間に翻訳すること」だと考えています。

音楽は耳で聞くものです。

しかし、ダンサーは聞いて終わりではありません。

音の流れを身体に通し、舞台やスタジオという空間の中に、動きとして表します。

画家は、白いキャンバスに絵を描きます。

音楽家は、無音の時間に音を置き、音楽を作ります。

では、ダンサーは何をしているのか。

ダンサーは、目に見えない音の流れを、身体の動きとして空間に描いています。

だから、振付を覚えればそれで終わりではありません。

カウントに間に合えば十分という話でもありません。

どの音で動き始めるのか。

どのくらいの速度で進むのか。

どこに重さを置くのか。

どの瞬間に伸び切るのか。

どの音で次の動きへ移るのか。

そこまで含めて、踊りです。それは音楽を聴くことなしに実現しません。

例えば、プリエを考えてみます。

「ワン、ツーで下りて、スリー、フォーで上がる」

これはバレエのレッスンでよく出てくる動きです。

一見すると、膝を曲げて伸ばしているだけに見えるかもしれません。

しかし、バレエとして行うなら、そこには明確な時間の設計があります。

ワンで動き始める。

ツーで一番深いところに到達する。

スリーで戻り始める。

フォーで膝が伸び、正確なポジションに戻る。

この流れが曖昧になると、プリエはただの膝の曲げ伸ばしになります。

同じ形をしていても、音の中に置かれていなければ、踊りとしての密度は下がります。

素人目にみても比べてみれば明確にわかります。全てがコントロールされた動きに

人は美しさを感じるのです。

カウントを数えることと、音楽を聞くことは違う

バレエのレッスンでは、カウントを使います。

ワン、ツー、スリー、フォー。

ファイブ、シックス、セブン、エイト。

カウントは必要ですし、重要です。

特に大人からバレエを始めた方にとって、カウントは動きを整理するための大切な手がかりになります。

どこで足を出すのか。

どこで戻すのか。

どこでプリエをするのか。

どこで顔をつけるのか。

これを理解するために、カウントはとても役に立ちます。

だれかと振りを合わせる時にもコミュニケーションは取りやすくなります。

ただ、カウントを数えているだけで「音楽を聞いている」と思ってしまうと、

踊りの理解は低くなって獅しまいます。

カウントは音楽の骨組みです。

しかし、音楽そのものではありません。

同じ4カウントでも、曲によって質感はまったく違います。

深く沈むような音なのか。

軽く弾む音なのか。

なめらかに流れる音なのか。

鋭く切り替わる音なのか。

そこを聞かずに数字だけで処理してしまうと、音楽は単なる合図になります。

音が鳴ったから動く。

カウントが来たから足を出す。

次の数字になったから戻す。

これでは、号令に反応している状態に近くなります。

もちろん、最初はそれでも構いません。

順番を覚える段階では、まずカウントに合わせて動くことが必要です。

しかし、踊りとして深めていくなら、その先が必要です。

音の長さ、重さ、流れ、強弱、余韻。

それらを身体で受け取り、動きの質に変えていく。

そこまでできて、初めて音楽を聞いて踊っていると言えます。

レッスンでその瞬間に練習しているものが、エクササイズなのか踊りなのか

そのあたりも頭で考えていかなければいけません。

表現力の差は「時間の扱い」に出る

同じ動きでも表現力に差が出る理由は、時間の扱い方にあります。

上手く見える人は、動きの始まりと終わりが音の中にきちんと置かれています。

一方で、雑に見える人は、動きが早く終わっていたり、遅れていたり、途中の流れが抜けていたりします。

例えば、4カウントで脚を上げ、4カウントで下ろす動きがあるとします。

ワン、ツー、スリー、フォーで脚を上げる。

ファイブ、シックス、セブン、エイトで下ろす。

この場合、フォーで目的の高さに到達し、エイトで正確にポジションへ戻る必要があります。

ところが、実際のレッスンでは、こういうことがよく起こります。

フォーまでは頑張って脚を上げる。

そこで疲れる。

ファイブ、シックスあたりで脚を下ろしてしまう。

セブン、エイトは何となく待っている。

本人は動きを終えたつもりかもしれません。

しかし、音はまだ続いています。

音が続いているのに、身体の表現が先に終わってしまっている。

これでは、後半の時間が空白になります。

動きとして大変なデブロッペなどの練習でよく見られてしまう光景です。

プリエでも同じです。必ずやる振りだからこそ雑になっていることがよくあります。

ワン、ツーで下りる。

スリー、フォーで上がる。

このとき、スリーの時点でほとんど伸び切り、フォーは上で止まっているだけになっている人がいます。

下りる動きには2カウント使っているのに、上がる動きには1カウントしか使っていない。

残りの時間が、ただの待ち時間になっているわけです。

この小さなズレが、踊りの印象を大きく変えます。

バレエは、形だけではなく時間の芸術です。

どの形になるかだけでなく、その形にどう向かうか。

どのポジションに戻るかだけでなく、そこへどう収まるか。

この過程に、表現力が出ます。言い換えれば音楽性とは時間のコントロールともいえるのです。

なぜ上がる動きは早くなりやすいのか

音の時間を正確に使うことが大切だと分かっていても、実際には多くの人が途中で急いでしまいます。

特に、プリエから戻るときや、脚を下ろすときに雑になりやすい。

これは、集中力だけの問題ではありません。

身体の仕組みも関係しています。

筋肉には、主に3つの力の出し方があります。

一つ目は、縮みながら力を出す使い方です。

例えば、肘を曲げて力こぶを作るような動きです。

二つ目は、長さを大きく変えずに力を出す使い方です。

重いものを同じ位置で持ち続けるような状態です。

三つ目は、伸びながらブレーキをかけるように力を出す使い方です。

物を急に落とさないように、ゆっくり下ろすときのような働きです。

この3つは、同じ「力を出す」でも、発揮できる力が違います。

一般的には、止めて耐える力を100とすると、縮みながら出す力はそれより低く、伸びながら耐える力はそれより高くなります。

簡単に言えば、筋肉は縮みながら動くより、伸びながらブレーキをかけるほうが大きな力を出しやすいのです。

大体縮むときは80、伸びる時は120くらいになります。

これをプリエで考えてみます。

膝を曲げて下りていくとき、前腿の筋肉は伸びながらブレーキをかけています。

つまり、身体としては比較的コントロールしやすい状態です。

反対に、プリエから膝を伸ばして戻るときは、前腿の筋肉が縮みながら働きます。

こちらのほうが大変です。

だから、同じ2カウントでも、下りる2カウントと上がる2カウントでは、身体の負担が違います。

下りるときは比較的音に合わせやすい。

上がるときは、思っているより努力しないと音に収まりません。

その結果、無意識に早く伸び切ってしまう。

これは、本人が雑にやろうとしているわけではありません。

身体が楽なほうへ逃げているのです。

だからこそ、音に合わせるには、感覚だけでなく意識的なコントロールが必要になります。

こういう所があるから教師には解剖学も役に立つ知識の1つです。

プリエは音楽性を育てる練習である

プリエは、バレエの基礎中の基礎です。

しかし、プリエをただ膝を曲げる練習だと思っていると、非常にもったいない。

プリエには、身体の使い方だけでなく、音の扱い方が含まれています。

ワン、ツーで下りる。

その2カウントの中で、急に落ちていないか。

途中で止まっていないか。

ツーの瞬間に一番深いところに到達しているか。

スリー、フォーで上がる。

膝を伸ばすことだけを急いでいないか。

スリーでほとんど終わっていないか。

フォーで正確に立ち切れているか。

この確認が必要です。

プリエは、足を温めるためだけの練習ではありません。

音と身体の関係を整える練習です。

ここで時間の扱いが雑な人は、難しい振付になったときにも同じ癖が出ます。

逆に、プリエの段階から丁寧に動ける人は、センターやバリエーションでも踊りの質が崩れにくくなります。

基礎の中には、踊りに必要な要素がすべて入っています。

プリエが雑な人は、ジャンプの着地も雑になりやすい。

タンデュの戻りが甘い人は、センターで足の収まりも乱れやすい。

ポール・ド・ブラが音から外れる人は、振付の中でも腕だけが浮いて見えやすい。

基礎は、初心者だけのものではありません。

踊りの質を確認するために、どのレベルの人にも必要です。

戻す動きに実力が出る

バレエでは、出す動きよりも戻す動きに実力が出ます。

タンデュを出す。

脚を上げる。

腕を上げる。

ルルベに立つ。

こうした「出す」「上げる」「立つ」という動きには、意識が向きやすいです。

しかし、本当に大切なのはその後です。

タンデュをどう戻すか。

脚をどう下ろすか。

腕をどう収めるか。

ルルベからどう下りるか。

この戻りが雑だと、踊り全体が雑に見えます。

タンデュで足を出すときだけ丁寧でも、戻るときに足裏が抜けてしまえば、動きとしては不完全です。

デヴロッペで脚を上げることだけに集中して、下ろすときに落としてしまえば、音の後半を捨てていることになります。

ポール・ド・ブラで腕を上げることはできても、下ろすときに肘が落ち、手首が抜けてしまえば、表現は途中で切れます。

戻す動きは派手ではありません。

だからこそ、そこにその人の丁寧さが出ます。

上手い人は、戻りが美しい。

最後にポジションへ収まる瞬間まで、身体の意識が切れていません。

そのため、動きに余韻が残ります。

反対に、戻りを雑にすると、踊りは作業に見えます。ただの体操とも言えます。

出して、戻して、終わり。

上げて、下ろして、終わり。

それでは音が身体を通っていきません。音楽を聞いているとは言えないのです。

腕は飾りではない

音楽性は、脚だけに出るものではありません。

腕にもはっきり表れます。

バレエでは、腕の扱いが踊りの印象を大きく左右します。

むしろ観客の90%は上半身しか見ていないと考えた方が良いです。

同じ脚の動きでも、腕が自然に流れている人と、ただ位置を移動させているだけの人では、見え方がまったく違います。

アン・バーからアン・ナヴァンへ。

アン・ナヴァンからアン・オーへ。

ア・ラ・スゴンドへ開く。

アロンジェする。

こうした腕の動きも、すべて音の中で行われています。

ところが、腕は脚ほど重さを感じにくいため、何となく動かしてしまいやすい部分です。

脚はまだ動いているのに、腕だけ先に終わっている。

身体はプリエしているのに、腕が先に落ちている。

上半身と下半身が別々の時間で動いている。

こうなると、全身で一つの流れを作ることができません。

腕は飾りではありません。

空間に線を描くための重要な要素です。

腕の通り道、肘の高さ、手首の扱い、指先の方向。

これらが自然につながると、踊りに品が出ます。

反対に、腕が雑になると、どれだけ脚が正確でも全体が硬く見えます。

ポール・ド・ブラは、腕の形を覚えるだけの練習ではありません。

上半身で流れを作る練習です。

どの音で動き始め、どの音で通過し、どの音で到達するのか。

そこまで考えることで、腕は踊りの一部になります。

故に大人バレエアカデミー™は第1から第6までのポールドブラの型を大事にしています。

それをしっかりとやることで、動かすだけでない音楽性の訓練も狙っていけるのです。

疲れたときに踊りの癖が出る

レッスンでは、疲れてきたときに本当の癖が出ます。

最初は丁寧に動ける。

カウントも取れる。

ポジションも意識できる。

しかし、後半になると脚を早く下ろす。

腕が落ちる。

プリエが浅くなる。

戻りが曖昧になる。

これは、誰にでも起こり得ます。

疲れると、人間は楽をしたくなります。

ただ、踊りとして考えるなら、疲れたから雑になっていいわけではありません。

舞台でも疲れます。

バリエーションの後半でも疲れます。

アレグロの最後でも疲れます。

群舞で何度も同じ動きを繰り返せば、集中力も落ちます。

そのときに、普段のレッスンで「疲れたら早く終わる」練習をしていたら、本番でも同じことが起こります。

身体は、普段やっていることを覚えます。

疲れたら脚を落とす。

疲れたら腕を下げる。

疲れたらポジションを曖昧にする。

これを繰り返していると、それが踊りの癖になります。

反対に、疲れたときほど丁寧に収める習慣がある人は、動きが崩れにくくなります。

体力が無限にある人はいません。

だからこそ、疲れたときに何を守るかが重要です。

最後のポジションまで責任を持つ。

腕を落とさない。

脚を投げ出さない。

音の中で身体を収める。

この積み重ねが、踊りの強さになります。

本番はちゃんとやります。といって練習を雑にしている人間が育つところを私は見たことがないです。

表現力とは、顔を作ることではない

「もっと表現して」と言われると、多くの人は表情や感情を考えます。

もっと笑ったほうがいいのか。

もっと顔をつけたほうがいいのか。

もっと大きく動いたほうがいいのか。

もちろん、それらも表現の一部です。

しかし、表現力とは、顔を作ることではありません。

感情を大げさに見せることでもありません。

表現力の土台は、音の質を身体の質に変えることです。

重い音なら、動きにも重さが必要になります。

軽い音なら、身体の反応も軽くなります。

なめらかな音なら、動きのつながりが大切になります。

鋭い音なら、出す瞬間の明確さが必要です。

同じプリエでも、曲が変われば見え方は変わります。

同じタンデュでも、音の質によって足先の出方は変わります。

同じポール・ド・ブラでも、音の流れによって腕の速度や余韻は変わります。

これを無視して、顔だけで表現しようとすると不自然になります。

雰囲気だけ作っているように見える。

腕だけ大げさに動いているように見える。

踊りの中身が伴っていないように見える。

そうなってしまうのは、音と身体の関係ができていないからです。

本当の表現は、基礎の中で育ちます。

プリエをどう下りるか。

タンデュをどう戻すか。

デヴロッペをどう下ろすか。

ポール・ド・ブラをどうつなげるか。

そこに、その人の踊り方が出ます。

もちろん、すべては調和なのでコントロールされた動き中に

どうやって顔や表情を付けるかが芸術としての評価の分かれ目にもなっていきます。

入門クラスほど音楽性が見える

音楽性というと、上級者の話だと思われがちです。

難しいバリエーションや舞台作品の中で必要になるものだと思っている方もいるかもしれません。

しかし、実際には入門クラスほど音楽性がはっきり出ます。

なぜなら、動きがシンプルだからです。

複雑な振付では、順番を覚えることや身体を動かすことに意識を取られます。

一方、プリエやタンデュのような基礎練習では、動きそのものは比較的分かりやすい。

だから、音との関係がごまかせません。

ワン、ツーで下りる。

スリー、フォーで上がる。

たったこれだけでも、その人が音を聞いているかどうかは分かります。

タンデュを出す。

戻す。

この単純な動きの中にも、足先がどの音で伸び、どの音でポジションへ収まるかが出ます。

上級者の中にも、入門クラスに入ると音の取り方が甘い人がいます。

脚は上がる。

回転もできる。

難しいステップも知っている。

それでも、2カウントで下りて2カウントで上がるという基本が正確にできていない。

これは珍しいことではありません。

だから、入門を軽く見てはいけません。

入門は簡単なクラスではありません。

バレエの基礎を確認するクラスです。

そして基礎とは、形だけではなく、時間の扱いまで含まれます。

経験者であるという理由だけで入門をつまらないと思うなら

基礎が出来ているかを一度疑ってみることをおすすめします。

プロでも音を聞けていない人はいる

身体能力が高い人でも、音との関係が弱いことがあります。

回れる。

跳べる。

脚が上がる。

見た目の条件も良い。

それでも、音から外れていると、踊りとしては弱く見えます。

プロの舞台でも、群舞が合わないことがあります。

同じ振付をしているはずなのに、動き出しが微妙に違う。

終わりのタイミングがそろわない。

腕の通り道が違う。

重心の移り方が違う。

こうしたズレは、舞台上で突然生まれるものではありません。

普段のレッスンから出ています。

自分の都合で早く終わる。

やりやすいタイミングで戻る。

疲れたら形を曖昧にする。

この癖があると、群舞で周りと合いません。

バレエは個人の技術だけで成立するものではありません。

音楽、空間、周りの人との関係の中で成り立っています。

特に群舞では、自分だけが気持ちよく動いても意味がありません。

全員が同じ時間を共有し、同じ質感で動く必要があります。

そのためには、普段のレッスンから音と身体の関係を整えておくことが必要です。

バー・レッスンで曖昧な人が、舞台で急に音楽的になることはありません。

普段の小さな癖が、そのまま踊りに出ます。

プロバレエ団にすら音楽性のない人は存在するので、

いかに普段をきちんとしないといけないかがわかると思います。

大人から始める人こそ、音を味方にできる

大人からバレエを始める方は、身体の条件に不安を持ちやすいです。

体が硬い。

脚が上がらない。

ジャンプが高く跳べない。

回転が苦手。

子どもの頃からやっている人にはかなわない。

そう感じることもあると思います。

しかし、バレエの美しさは身体能力だけで決まるわけではありません。

音を丁寧に受け取り、身体の中で整理し、空間に表す力は、大人からでも磨けます。

むしろ、大人だからこそ理解しやすい部分もあります。

なぜ動きが早く終わってしまうのか。

なぜ戻りが雑になるのか。

なぜ疲れると腕が落ちるのか。

なぜ脚を下ろすときに音から外れるのか。

こうしたことを考えながら練習できるのは、大人の強みです。

身体は一日で変わりません。

柔軟性も、筋力も、回転も、時間をかけて育てる必要があります。

しかし、聞き方と意識は今日から変えられます。

次のプリエで、どの音で一番深くなるかを決める。

次のタンデュで、足先が伸び切る瞬間を確認する。

次のデヴロッペで、下ろす時間を雑にしない。

次のポール・ド・ブラで、腕が脚より先に終わっていないかを見る。

こうした小さな確認で、踊りの質は変わります。

大人から始めたから表現力が身につかない、ということはありません。

正しく意識すれば、動きの意味を理解しながら深めていくことができます。

この理解の上で、レッスンは丁寧に進めましょう。

レッスンで確認したいポイント

レッスンでは、次の点を確認してみてください。

まず、動き始めの音を曖昧にしないこと。

何となく動き始めるのではなく、どの音で始まるのかを明確にします。

次に、到達する音を決めること。

プリエなら、一番深くなる音。

タンデュなら、足先が伸び切る音。

デヴロッペなら、目的の高さに届く音。

ポール・ド・ブラなら、腕がポジションに入る音。

ここを決めると、動きに方向が生まれます。

そして、戻りを雑にしないこと。

出す動きよりも、戻す動きのほうが崩れやすいです。

足を戻す。

脚を下ろす。

腕を収める。

ルルベから下りる。

このときに、最後まで身体の意識が切れていないかを確認します。

最後に、疲れたときほど丁寧にすること。

疲れたときに早く終わらせる癖がある人は、踊りの後半で必ず崩れます。

体力が落ちてきたときに、どこまで形と時間を守れるか。

そこが、踊りの質を決めます。本番の出来を決めます。

表現力は練習で育つ

表現力という言葉は、少し曖昧です。

生まれ持ったセンスのように感じる方もいるかもしれません。

もちろん、感性の違いはあります。

しかし、バレエにおける表現力の多くは、レッスンの中で育てることができます。

その第一歩が、音と身体の関係を正確にすることです。

動きの始まりを明確にする。

途中の時間を抜かない。

到達点を曖昧にしない。

戻りを丁寧にする。

腕と脚を別々にしない。

疲れても形を投げ出さない。

これらは、特別な才能ではありません。

毎回のレッスンで確認できる技術です。

同じ動きでも表現力に差が出るのは、この小さな技術の積み重ねが違うからです。

ただ振付をなぞっている人と、音を身体で表している人では、同じ動きでもまったく違って見えます。

ただ脚を上げている人と、音の流れの中で脚を上げている人では、動きの意味が変わります。

ただ腕を移動させている人と、空間に線を描いている人では、踊りの見え方が変わります。

踊りは、形だけではありません。

時間の扱いです。

質感の扱いです。

空間の扱いです。

それらが合わさって、表現になります。

ここに心情や信条も乗ってくるのがプロとも言えますが、

まずは音楽性を身に着けていきましょう

バレエを踊りにするために

バレエで大切なのは、ただ動きを覚えることではありません。

ただ身体を鍛えることでもありません。

聞こえている音を、身体の中で意味のある動きに変えることです。

プリエは、膝を曲げるだけの練習ではありません。

タンデュは、足を出すだけの練習ではありません。

デヴロッペは、脚を上げるだけの練習ではありません。

ポール・ド・ブラは、腕の形を作るだけの練習ではありません。

すべて、音と身体をつなげる練習です。

同じ動きでも表現力に差が出る理由は、ここにあります。

形をなぞるだけなのか。

時間を扱っているのか。

音を合図として聞いているのか。

身体で受け取っているのか。

最後のポジションまで責任を持っているのか。

途中で意識が切れているのか。

この違いが、踊りの質を大きく変えます。

表現力は、急に身につくものではありません。

毎回のプリエ、毎回のタンデュ、毎回のポール・ド・ブラの中で育てていくものです。

難しいテクニックに挑戦することも大切です。

身体を鍛えることも必要です。

しかし、その前に、今流れている音を本当に身体で扱えているかを確認すること。

そこから踊りは変わります。

バレエは、音楽を身体で空間に描く芸術です。

音に対して、身体がどう始まり、どう進み、どう終わるのか。

その意識があるかどうかで、同じ動きでも見え方は大きく変わります。

そして、その差こそが、表現力の差として現れるのです。

まとめ  表現力は、音をどう身体に変えるかで決まる

同じ動きをしているのに、ある人は踊って見え、別の人はただ動いているだけに見える。

その差は、脚の高さや回転数だけで決まるものではありません。

大きな違いは、音をどう受け取り、その時間をどう身体で扱っているかにあります。

プリエは、膝を曲げるだけの練習ではありません。

タンデュは、足を出すだけの練習ではありません。

デヴロッペは、脚を上げるだけの練習ではありません。

ポール・ド・ブラは、腕の形を作るだけの練習ではありません。

それぞれの動きには、始まりがあり、途中の流れがあり、終わりがあります。

その時間を雑に扱えば、どれだけ形が合っていても踊りは浅く見えます。

反対に、シンプルな動きでも、音の中で身体が始まり、進み、正確に収まっていれば、そこには踊りとしての説得力が生まれます。

表現力とは、顔を作ることではありません。

雰囲気だけを足すことでもありません。

音の重さ、軽さ、流れ、鋭さ、余韻を、身体の質に変えることです。

そのためには、普段のレッスンから、音をただの合図として聞かないこと。

カウントに間に合わせるだけで終わらせないこと。

出す動きだけでなく、戻す動きまで丁寧に扱うこと。

疲れたときほど、最後のポジションまで意識を切らさないこと。

これが、踊りの質を変えていきます。

バレエは、音楽を身体で空間に描く芸術です。

音に対して、身体がどう始まり、どこへ向かい、どのように終わるのか。

そこを曖昧にしたままでは、振付をなぞることはできても、踊りにはなりません。

難しいテクニックに挑戦することも大切です。

身体を鍛えることも必要です。

しかし、その前に、今流れている音を本当に身体で扱えているか。

そこを確認することが、表現力を育てる第一歩です。

同じ動きでも、美しく見える人とそうでない人がいます。

その差は、特別な才能だけではありません。

毎回のプリエ、毎回のタンデュ、毎回のポール・ド・ブラの中で、音と身体の関係をどれだけ丁寧に積み重ねているか。

そこに、踊りの差が出ます。

バレエは、形を見せるだけのものではありません。

音楽を、身体を通して見えるものにする芸術です。

だからこそ、音を聞く力は、技術の一部です。

そして、その音を空間に翻訳できたとき、同じ動きはただの動作ではなく、踊りに変わります。

その基礎はその結果を得るためにデザインされたものでなければいけません。

踊りの基礎を正しくしたい方はぜひ体験レッスンにお越しください。

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