こんにちは。大人バレエアカデミー、バレエトレーニングディレクターの猪野です。
今日は「関節は“強くならない”」という、とても大切なテーマをブログとしてまとめます。


結論(先に言います)

  • 関節そのものはトレーニングで強くなりません。

  • 痛みを「試練」と勘違いして痛む関節を使い続けるのは逆効果です。

  • 守れるのは関節“まわり”の筋肉・使い方・動き方

  • 関節痛がある間は一度中止、専門家に相談し、痛みが出ない範囲で再開しましょう。


なぜ関節は“強化”できないのか

関節(関節軟骨・関節包・靱帯など)は、筋肉のように「負荷→回復→肥大」で頑丈になる部位ではありません。
むしろ、**使い方を誤ると摩耗しやすい“弱点”です。
鍛えられるのは
関節を安定させる筋肉(周囲の筋群)動作の質(荷重のかけ方・軌道・タイミング)**です。


よくある誤解:「痛みを超えたら強くなる」

  • ウェイトや自重トレーニングでは、筋肉の焼けつくような疲労感を超えることで適応が起こります。

  • しかし関節の痛みは別物

    • 刺す・ズキズキする・引っかかるといった関節痛は、中止のサイン。

    • そのまま続けると、炎症→悪化→慢性化のループに入ります。


痛みを出さないための基本原則(バレエ版)

  1. 中間位を守る
    骨盤・脊柱・股関節・膝・足首が、無理なく荷重を受けられる並びを作る。

  2. 荷重の軌道を整える
    立脚のときは外側→内側(小趾球→母趾球)へなめらかに。押し付けるのではなく“通過”させる。

  3. 可動性→安定→動作の順番
    まず必要可動域を確保し、次に体幹・股関節周囲の安定を作り、その後で技術練習。

  4. 反復は“良い形”だけ
    痛みが出るフォームで回数を積むのは、悪い学習の強化。回数より再現性を優先。


関節が痛いときのチェックリスト

  • □ 痛みは動作の最中か、動作後に遅れて出るか

  • 押すと痛い引っかかる腫れる/熱感はないか

  • 同じ軌道・同じ場面で毎回出ていないか

  • □ 痛みが24–48時間で引かない、または回数を重ねるほど悪化していないか

→ ひとつでも当てはまるなら、一度その動作を止めて専門家へ。クラスは痛みが出ない代替メニューに切り替えましょう。


よくある部位別の見直しポイント

※以下は一般的な観点です。痛みがある場合は受診・評価を優先してください。

  • 原因例:膝内側への崩れ、ターンアウトを膝で稼ぐ、着地の衝撃吸収不足

  • 即改善股関節からの外旋に限定/膝とつま先の向きを一致ソフトランディング

  • 原因例:骨盤前傾の固定・反りでの“引き上げ”誤解、体幹の支持不足

  • 即改善肋骨と骨盤の距離を保つ腹圧(深層)での支持反りで稼がない

足首・足部

  • 原因例:ルルベや着地で内側に潰れる、三点を“押し付ける”

  • 即改善外→内の荷重の通り道を作る/足指を握りこまず長く置く


安全にレッスンへ戻る手順(簡易プロトコル)

  1. 痛みゼロの動きから再開(ROM確認・荷重テスト)

  2. 安定化エクササイズ(股関節外旋・中臀筋、体幹深層)

  3. 基本動作へ段階的に(バー→センター、低負荷→高負荷)

  4. 痛みログをつけ、再現条件(時間・動作・強度)を把握

  5. 再発兆候で即減量。良い形が保てる範囲だけ積み上げる


まとめ

  • 関節は鍛えて強くする対象ではなく、守る対象

  • 守る鍵は、筋力(周辺)+配列(中間位)+荷重の通し方(動作)

  • 痛い関節を使って乗り越えるは迷信です。止める・整える・戻すが最短ルート。


大人バレエアカデミーからのお願い

  • クラス中に関節の痛みを感じたら、すぐに講師へ。その場でメニューを痛みの出ない形に変更します。

  • 必要に応じて医療機関・専門家の受診をおすすめします。評価結果を共有いただければ、無理のない練習計画をご提案します。

医療に関する注意:本記事は一般的な情報提供を目的としています。診断や治療は医療専門家の指示に従ってください。


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