こんにちは、大人バレエアカデミー™、バレエトレーニングディレクターの猪野です。

レッスンが終わったときには、分かった気がしていた。
先生に直してもらって確かに動きやすくなったし、帰り道でも「今日はあそこだったな」と思い出していた。

ところが一週間たって、バーの最初のタンデュで先生に同じことを言われる。
「あ、そうだった」と思い出して、そこで初めて直す。

週に一回のペースで通っている方なら、覚えがあるのではないでしょうか。

ちゃんと聞いていたのにどうして、と自分の覚えの悪さを疑う方もいるかもしれません。
でも、バレエは説明を理解した瞬間から身体が変わるものではありません。
頭では分かっていても、身体がいつもの使い方に戻ってしまいます。

レッスンの回数を増やせば、この問題は軽くなります。
それについては以前、週2回、週3回に増やすと何が変わるのかという記事に書いてあります。

ただ、仕事や家のことがあって、週一回より増やせない方もいます。
そして、週3回、週4回と通っていても、レッスン同士がつながっていなければ、なかなか変わりません。
反対に、週一回でも、前回の続きができている方は伸びます。
今回は、週一回のまま、注意を次の週へ持っていくための話です。

持ち帰るのは、注意の言葉ではなく、直し方です

レッスンの帰りに、言われたことをスマートフォンにメモしておく方もいます。
「タンデュ、骨盤」くらいの一言でも、次のレッスンの前に一度見返すのはよいことです。
以前の記事でも、そう書きました。

ただ、そこにもう一つ足してほしいことがあります。
注意の言葉だけでなく、どうしたら直ったのか、です。

例えばタンデュで、脚を出すときに骨盤まで一緒についていってしまう人がいます。
先生から「骨盤が動いています」と言われて、直し方を教わり、やってみたら脚だけが動いた。
タンデュのとき、私が見たいのは「骨盤は静か、脚だけが動く」状態です。

このとき、レッスンの中で起きていたのは、「骨盤」という言葉を覚えたことではありません。
何をしたら、骨盤が動かなくなったのか、という体験です。

次の週に残っているのが「骨盤」という言葉だけだと、やるのは「骨盤を動かさないように気をつける」ことになります。
でもこれは、先生に直される前に、本人がすでにやろうとしていたことです。
気をつけていたのに動いていたから、注意されたわけです。

私は以前、カンブレで骨盤が前に逃げてしまう方に、写真で本人のイメージとの違いを見てもらい、お腹が抜けないように練習してからもう一度やってもらったことがあります。
そのとき本人は「脚を強く使うとできる感じがする」と話していました。
自分でできるときの感覚が覚えられると、その後は再現できるようになります。
これを得られるかどうかが、トレーニングではとても大事です。

どうしたら直ったのか分からない注意は、持ち帰っても次の週に試すことがありません。
体験レッスンの見方として、「直し方が持ち帰れるか」を挙げたのも同じ理由です。

レッスンの最中に「今のは何が変わったんですか」と先生に聞いても構いません。
「はい」と返事をして次へ進んでしまった注意は、終わってから聞いてください。
生徒が先生に質問するのは当然の権利です。

直った感じは、鏡や先生で答え合わせをします

直したときの感じも、一緒に覚えておくとよいのですが、気をつけてほしいことがあります。

正しい位置に直すと、本人にはむしろ変に感じる方もいます。
YouTubeでもお話ししましたが、身体が前に倒れている人にまっすぐ立ってもらうと、「こんなに後ろでいいんですか」と言われます。
鏡で見ると、ちょうどまっすぐです。

大人の感覚のセンサーは、ずれている前提で考えたほうが安全です。
そのずれた感覚を頼りにすると、レッスンを重ねてもなかなか上達しません。

ですから、直ったときの感じは、感じだけで判断しません。
まず目で見て、正しい形を知る。
先生やお手本を見る、鏡で見る、動画を撮ってみる。
鏡は、やってみたあとの答え合わせに使います。

「先週の注意の感じが出てきた」と思ったら、鏡でも確かめる。
先週と違って妙に落ち着いて立てていたら、その感じが正しいのか、それとも元の立ち方に戻っているのか、やはり鏡や先生に見てもらいます。
長く続けてきた動き方に身体が戻ることは、自然に起こります。
何年も、人によっては何十年もやってきた動き方と、レッスンで何回か試しただけの動き方とでは、戻る先は決まっています。

一回のレッスンの注意を、全部は持ち帰れません

レッスンの中でも、注意を全部同時に持つことはできません。
脚を言われたら腕を忘れ、腕を言われたら顔の向きが抜ける。
その場でさえ全部を持てないのですから、一週間あけて全部を持ってくるのは無理があります。

体験レッスンの見方でも書きましたが、良い先生ほど、宿題は一つに絞れます。
情報が多すぎると、頭がいっぱいになって身体が動かなくなります。

メモにはたくさん書いても構いません。
次の週に試すものを、一つだけ選んでください。
先生に直してもらって、直し方が分かっていて、自分でも変わったと分かったものがよいです。

前回の注意が、まだ直っていなければ、練習は続きます。
今日の先生が別の説明をしていても、前回の注意をやめてよいことにはなりません。
別の注意が増えて一度に意識できないときは、一つに絞ったものを優先してください。

先週の注意は、次のバーの最初に試せます

試すのは、次のレッスンの最初です。

バーの最初のプリエやタンデュは、身体を温める時間でもあります。
動きが簡単なぶん、順番を追いかけなくて済むので、先週の注意を試しやすい時間でもあります。
先生に言われる前に、自分で先週の一文を試してみてください。

それでも先生に同じところを言われたら、落ち込まなくて大丈夫です。
試すこと自体を忘れていたなら、持ち帰り方を見直せばよいだけです。
試したのに先週の感じが出なかったなら、直し方をもう一度先生に見てもらいましょう。
レッスンの前に「先週ここを直してもらったのですが、今日も見てもらえますか」と一言かけておくのもよい方法です。

ゆっくりならできるのに、音楽の速さになると戻ってしまう場合もあります。
その場合は先週の注意が残っていないのではなく、速さが加わって難しくなっているのです。
「先週言われたところ、ゆっくりならできるのですが、音楽に合わせると戻ってしまいます」と先生に伝えてください。
それが伝わると、先生はそこを見て、速さの中でどうするかを教えられます。

同じ注意が続いているように見えても、先生が見ている場所が変わっていれば、それは前に進んでいます。
先週と同じ内容を注意されているのか、先週の続きを注意されているのか。
そこが分からなければ、先生に聞いてみてください。

次のレッスンが終わったら、スタジオを出る前に、持ち帰る注意を一つだけ選んでください。
そして「どうしたら直ったか」を、一文でスマートフォンに書いておきます。
直し方が書けなければ、まだ教わっていない注意なので、帰る前に先生に聞いてみてください。
書いた一文は、その次のレッスンのバーにつく前に読み返して、最初のプリエやタンデュで、先生に言われる前に試してみてください。

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