大人バレエアカデミー™、バレエトレーニングディレクターの猪野です。
指導をしていると、こういう声をよく聞きます。
「アラベスクを頑張るほど腰が痛いです」
「脚は上がるのに“腰だけ反ってる”と言われます」
「反らないと上がらない気がします」
そうなんです・
腰を反れば、脚は“その場で”上がります。
でも腰は、脚を上げるためだけに存在するわけではないので
ツケは、だいたい腰に来ます。
今回はのテーマは
「アラベスク 腰」の悩みは、根性じゃなくて構造と順番
「股関節 伸展(太ももを後ろへ送る動き)」を
「腰椎 伸展(腰を反らす動き)」で代用しないことを気を付けよう、
というお話です
最初にこれは押さえてほしいこととして
アラベスクは
股関節で脚を後ろへ送る。
背骨は、長く使う。
腰は、折らない。
これができると
腰が軽くなる。
脚が軽く見える。
軸が太くなる(崩れにくい)。
が、一気に起きます。
理由
腰だけ反りすぎる人は、体の中で「置き換え」が起きています。
本当は
股関節伸展もきちんと使って脚を後ろへ運びたい
でも
骨盤が前に倒れる(前傾)
腰が反る(腰椎伸展)
で高さを作ってしまう。
ここで厄介なのは
骨盤や腰が動くと
股関節が伸びた“ように見える”ことがある点です。
臨床の可動域評価でも、骨盤の傾きや腰の代償が入ると、股関節の可動域が正確に見えなくなる(過大・過小評価される)ことが指摘されています。(International Journal of Sports Therapy)
そして、アラベスクそのものが腰への負担になりやすい動作として扱われています。(PubMed)
腰の動きも、実際にアラベスクでは腰椎が伸展(反り方向)していることが計測されています。(International Society of Biomechanics)
つまり
「腰で反って脚を上げる」は
短期的に“できた感”が出る。
でも
長期的に腰が痛みやすい。ということになります。
セルフチェック(3つ)
チェック1
腰の同じ場所だけが強く折れて、そこにシワが寄る
鏡の横で、低いアラベスク(45度くらい)を作ります。
腰の一箇所だけが明らかに折れているなら、腰椎で稼いでいる可能性が高いです。
チェック2
「腰骨の出っ張り」が下を向く
前側の腰骨の出っ張り(上前腸骨棘)に指を当ててアラベスク。
脚を上げた瞬間に、そこが下へ倒れる(骨盤前傾が増える)。
このタイプは、股関節より先に骨盤が逃げています。
補足
骨盤の傾きが混ざると、股関節の“本当の伸展”が見えにくくなります。(International Journal of Sports Therapy)
チェック3
「胸」ではなく「腰」で胸を起こしている
アラベスクは背骨全体が関わります。
胸椎(背中の上の方)が動かないと、腰椎が働きすぎやすい。
多セグメント(骨盤・腰・胸)で見た研究でも、アラベスクでは胸椎の寄与が大きいことが示されています。(サイエンスダイレクト)
直し方(股関節伸展に戻す 4ステップ)
ステップ1
「腹筋で固める」ではなく「肋骨が前に出ない位置」を作る
息を長く吐いて
肋骨の前が飛び出ないところで止めます。
目的は、腰をガチガチに固定することではありません。
腰椎が反り続けない“上限”を作ることです。
ステップ2
うつ伏せで、股関節伸展だけを出す(腰を反らない)
うつ伏せ。片膝を90度に曲げます。
太ももを床から少しだけ浮かせます。
ルールは3つ
・恥骨が床から浮かない
・腰が詰まらない
・高さは小さくていい
腰が詰まるなら、それ以上は上げない。
そこが、今のあなたの「股関節伸展の実力値」です。
ステップ3
バーで「低いアラベスクを美しく」作る
脚は45度まででOKです。
・骨盤の向きは保つ(前傾で盛らない)
・肋骨は前に出さない
・腰に痛みゼロ
10秒キープできたら合格。
ステップ4
高さは5度ずつ上げる(条件を守ったまま)
上げ方はこれだけ。
昨日の合格高さ+5度。
同じ条件(骨盤・肋骨・痛みゼロ)でできたら次へ。
雑に上げて腰で盛るより
小さく上げて股関節で勝つ方が、結局速いです。
目安ライン(ここまで来たら、上達が安定する)
・45度のアラベスクを10秒、痛みゼロで保持
・骨盤の前傾で高さを作っていない(腰骨の出っ張りで触って確認)
・呼吸が止まらない
・終わったあと腰が重くならない
よくある言葉の捉え直し
☆「腰を反れ」
腰を折れ、ではありません。
背骨を長く使う。胸椎も使う。腰椎だけで稼がない。(サイエンスダイレクト)
☆「骨盤を正面」
固めろ、ではありません。
位置を保ったまま脚を後ろへ送る、です。
☆「脚を上げて」
上げる、より
股関節を伸ばして後ろへ送る、です。
注意(これだけは大事)
鋭い痛み、痺れ、動かすほど悪化する痛みがある場合は
練習で押し切らず、医療者に相談してください。
アラベスクが腰痛と関係しやすい動作として扱われているのは事実なので、無理は禁物です。(PubMed)
まとめ
・アラベスクの高さを、腰椎伸展で作らない
・骨盤や腰の代償が入ると、股関節の伸展が“できた気”になりやすい(International Journal of Sports Therapy)
・アラベスクでは腰椎伸展が計測されている。だからこそ、腰椎だけに集中させない(International Society of Biomechanics)
・胸椎の動きが小さいと、腰が働きすぎやすい(サイエンスダイレクト)
・低いアラベスクを痛みゼロで10秒。そこから5度ずつ
腰は踊りでなくても大切です。
アラベスクが上がるけど日常の歩行が困難では意味がないので、
腰に頼りすぎずに頑張りましょう


